(続)とある最底辺歯科医の戯れ言集

日本語が不自由な歯科医師のろくでもないお話 コメントは承認制

歯学部受験に役に立つ?立たない?情報

前回のエントリーにてかなりのコメントを頂いた。 


コメントを読んだ感想として歯科の未来予測として2つの認識があると考える。

1.自分達がある程度金も稼げて周りもやっていけているので歯科界はまだ大丈夫

2. 歯科の将来は暗い。

という意見に2分されるのではないだろうか?

 

はい、ここで1つ共通なのは

今後歯科界全体が良くなるという認識は皆ない

ということではないだろうか?

1の意見を述べている人でもこっから歯科はウハウハなんて書いてる人はいないわけで精々現状維持だろう。2は明らかに後退していくイメージなので精々現状維持か下がるかという意見が殆どだったということで良いと思う。

 

しかし、これに関してみんな主観的な意見でありデータとしてしっかりみたものはない。

ではどのデータをみればよいのだろうか?

それは私にもわからない・・・一介の歯科医師にそんなことわかりませんよ。

まあとりあえずちょっとだけ調べてみた。

 

 

歯科医院数

コンビニよりも多いは本当か?

 

日本歯科医師会のページに歯科医院数の推移が書いてあったので拝借

歯科医師・歯科医療機関の数|歯科医師のみなさま|日本歯科医師会

2015と16年がないのでそれは厚労省から持ってきた。

コンビニエンスストア数はここら辺から引用

過去の統計調査|一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会

 

この内容からはじき出したのがこれ

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色々なサイトにも書いてあるが、

今までの日本の歴史において

歯科医院がコンビニより少なかった事は一度もない

なのでコンビニより多いからワーキングプアは理論的におかしいと考えられる。

特にここ最近では歯科医院の増加は完全にプラトーに入っておりこれ以上劇的に増加していくことはないのではないだろうか。

 

では歯科医師の数はどうだろう?

 

 

歯科医師数の年次推移

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000087739.pdf

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これをみると歯科医師数は増加の一途である。

最近はやや増加率は落ちているというものの、人口10万に対する歯科医師数は昭和45年から比べて倍以上。

保険診療は薄利多売。ある程度患者数がいてこそ経営が成り立つものであり、競争が熾烈になっていることは間違いない。日本の人口はすでに減少に入っており、歯科医師数が減らなければさらに競争が激しくなる可能性がある。

 

ただし、ここで問題なのが歯科医師数における女性比率。

女性の場合、出産や育児といったイベントのためにドロップアウトしている場合がありうるため、歯科医師数と実働している数は結構違う可能性がある。

歯科医師国家試験合格者の最近の女性比率はかなり上昇している。

また、歯科大学の男女比はほぼ5:5、6:4ぐらいになってきている大学が多いため、さらに今後女性歯科医師数は増える可能性が高い。

女性歯科医師の働き方、が今後歯科医師の実数に関与するのは間違いない。

だからといって女性歯科医師が増えた分、歯科医師の実数が減るから男のDrは未来がある、なんて私全く思っていないので注意してほしい。

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どちらにしても歯科医師は40年前よりも相当増えており、競争激化、保険点数の抑制等

により収入がダウン、ワーキングプア!と言われるようになったと考えられる。

では、実際の収入はどのようなものだろうか?

 

 

歯科医師の収入

人事院の統計情報に歯科医師の収入が載っていた。

人事院 統計情報

平成28年度4月の収入はこのようになっているらしい。

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調査した母体の平均年齢は39.9歳 給与平均は80万円ぐらいになるようだ。

単純に12倍すると960万円平均

ただし、なんか年齢階層により年収に大幅にばらつきがあるなあ、と思ったら

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歯科医師だけ滅茶苦茶母体数が少ないからみたいだね。

なのでこの統計をどこまで信用していいものかわからないけどとりあえず年収1000万ぐらいは平均するとあるみたい。

このデータからすると薬剤師さんの年収なんかよりは結構高いみたいだね。

薬剤師さんは月35万円ちょっとって感じだからね。

 

試しに平成23年のデータを持ってきた。

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これも歯科医師はなぜか調査人数が凄く少ないのだが月73万強であり、実はここ5年で平均月収は7万円ほど上がっている。

え?本当なの?

まじ?

実感ないよ(爆)

人事院さんのデータを使うと歯科医師の収入ベースは実は上がっているようだ。

 

これからすると歯科界全体がワーキングプア的なイメージは間違いだというしかないだろう。

 

これは今の歯科医師のデータであり未来を保証するものではないが、歯科医師になるメリットというものはお金的な意味でも充分ある、と言うことはできるだろう。

 

 

受験時の大学選び

まあ理系であれば理学部、工学部、医歯薬とかそういったことになるんだろうか?

その中で歯学部に行く長所と短所でパッと閃いた物を列挙してみた。

歯学部に行くメリット

・医学部より遙かに入りやすい

・国家試験に合格すれば国家資格ゲット!

・他の職種と比べると以前高い収入水準

・定年が基本的にない

 

歯学部に行くデメリット

・歯科医師になれない可能性が結構ある

・歯科医師になれたとしても6年ですまない可能性が結構ある

・歯科医師になるための勉強しかないためそれ以外の進路が考えられない

・私立にいけば学費がかなり高い

・歯科医師になったあとの進路もかなり限られる

 

例えば大学教授になった場合、65歳ぐらいで定年があるわけだが大学を辞めた後に一般のクリニックに勤務している先生は結構いる。勿論開業してしまえば自分が辞めようと思うまで続ける事もできる。 

デメリットの歯科医師になれない可能性についてはこのブログで常に書いていることなんで、みんな分かってることとして話を進めていく。 

 

まあ歯学部で最もリスクが少ないのは国公立大学歯学部というのは確かだろう。

しかし私立においても御三家など古い歴史を誇る大学には数多くのOB、OGがおりどこに言っても同窓の繋がりというものがある。 

 

歯科医師となった後の進路

歯科医師となった後の進路は私も詳しくはないのだが、考えられるのは

・開業医

・開業医の勤務医

・病院の歯科勤務

・大学教官

・研究職

・厚労省などの役人、厚生支局の審議官等の行政職

・自衛隊などの特殊な国家公務員

・海外コース

ぐらいだろうか?

 

但し殆どの人は開業医または開業医の勤務医となる。

医科のように病院勤務という選択肢は殆どない。

病院の歯科はまず数が非常に少ない。また口腔外科医が勤めているのが一般的である。最近は摂食・嚥下に関連した病院歯科を立ち上げる所もあるが少数であり病院歯科で生きていくのはなかなか難しい。

大学教官も難しい。まず大学院で博士号がなければいけない。どこの大学も人件費を削減するために教官のポスト数を削減している。大学院を修了したからといって助教になれるかはわからない。助教になっても任期付きだったりして永久雇用でもない。臨床も研究も教育もやれ!科研費取ってこい、患者の売り上げもっとあげろ!国試の合格率を上げろ!で毎日16時間労働で土日も大学出勤とかザラ。しかしやらないと出世コースから落ちてしまう。

その他の職は元々のポストが少ない。将来厚労省行って俺は行政やる!と言う人がいるが、実際そこにいけた、という話を聞いたことは私はない。

 

というわけで結局は開業医に落ち着くことになる。

最初は雇われて勤務という形かもしれないが、大体は給料的な問題、治療方針的な問題等で院長と折り合いがつかなくなり独立を目指すことになる。そう開業だ。

 

 

膨れあがる開業資金

これに関して私はコンサルタントではないので明確な数字を有していない。

 

試しにこのページをみてみた。

www.shika-kaigyou.jp

これからすると

設備投資に3500万円+運転資金に1000万円必要と書いてある。

はっきり言うとこれは本当に最低限の開業資金じゃないだろうか。

まず、医療機器1500万円という設定。

最近開業するとしたら他院に差を付けるためにはある程度最新の機器を導入したくなる。まあどれもピンキリなんだが。

歯科用CT(600~2000万円ぐらい)

歯科用の顕微鏡(150~600万円ぐらい)

レーザー(300~400万円ぐらい)

これ3つ買っただけでオーバーしそう。歯科用の椅子(ユニット)が買えない。

つまり、医療機器1500万円の投資で収まる新規開業はもはやなかなか難しい。

居抜きでやればある程度は抑えられるとは思うが・・・・。

 

最近は滅菌等でも騒がれており、当然そこらへんに対しても投資が必要。

後述するが、今の歯科は施設基準により保険点数に差がつけられており、設備投資をしっかりする医院は高点数を得られるが、そういった投資をしない場合差がつくシステムになっている。投資は相当かかると考えなければいけない。

 

実際私の周りでも新規開業した方の借金を聞くとすぐに億という言葉を結構きく。

今の新規開業は昔の開業に比べるとリスクが高くなっているのは事実だろう。

だから若い人達は開業しづらい。

昔は30歳ぐらいでホイホイ開業していたが今はなかなか厳しい。

ただし35ぐらいまでには決めないとローンも厳しい。

 

そして、今高校生が開業する頃にはさらにデジタルの時代。

今の時代にプラスして

設備投資が要求される可能性が高い。

 

 

それに比べて医院承継なら、元々医院があるし地盤もあるわけなので有利だろう。

ただし父親の治療方針とソリが合わなくなって結局別の場所の開業したりする人も結構いるので注意が必要だ。

 

今後格差が拡がるかも・・・

歯科医師は殆どが最終的に開業という道を選択せざるを得ない。

つまり殆どが同じ立場になって同じ様に競争する。

勿論、さっきの年収の所をみればある程度の収入は得られる可能性がある。

私の身の回りでも開業に失敗した、と言う人は聞いたことがない。

皆それなりの生活はできているわけで、歯科医師という仕事はそれほどワーキングプアであるという実感は全く無い。

雑誌に書かれたりしているのはごく一部である、と言っていいと思う。

 

しかし、一番最初に書いた様に

今後歯科界全体が良くなるという認識は皆ない

わけだ。

よくて横ばい。

人口が減り医療費削減が叫ばれる中で歯科界全体が良くなるとはとても想像出来ない。

おそらく勝ち組と負け組の格差がより拡がるのではないかと予想する。

ただ、それは歯科だけの話ではないだろう。日本全体が斜陽に入っているわけで医科であろうが、他の業界であろうが同じ話だと思う。

 

歯科により閉塞感があるのは

あくまで私の私見だが成功するモデルが画一化してきているからではないだろうか。

ここ15年ぐらいだとインプラントだろう。

世の中ではインプラント!ホワイトニング!矯正!と保険外診療に関する宣伝が一杯だ。当然だ。稼ぎたければそこら辺しか選択肢がない。

画一化した成功モデルで競合しようとすると

自分にちゃんとした他院と差別化できるものがなければすぐに埋没する。

保険診療を一切しない歯科医院も増えている。

中にはヒアルロン酸注射とか点滴注射を保険外治療とかそういう本当に歯科医師ができるのか?的なお誘いのFAXが一日何回も来たりする。

 

保険治療って儲からないの?

正直言うと真面目に時間取ってやろうとすると全く儲からない、または赤字になる診療項目が結構ある。

保険治療で儲けをあげるには、スピーディに人数をみていく必要があるだろう。つまり薄利多売方式。内科では3分診察で1日100人みたりできるかもしれないが、歯科で5分で治療が終わることって滅多にないよね・・・。歯科ってなかなか短時間治療はできないの。

 

全部保険診療でも生活に困る事はないとは思う。

ただし、新しく設備投資にお金が回せるか、子供達が私立大学に行く学費をしっかり面倒見られるかはわからない。

 

 

保険診療はどこの歯科医院でやっても同じ料金?

実は違う。

先ほども書いたが、しっかり設備投資ができており基準を満たす歯科医院とそうではない歯科医院で得られる保険点数に差がつくようになっている。

同じ内容の事をやっても保険収入が結構違うようなシステムだ。

今後保険点数の大幅な増点は望めないから設備投資しっかりしたやつには点数つけてやるよ!という事。

そういった意味で継続的に設備投資できる体力は重要。

まあ医療費が抑制される以上、少なくなっていくパイを取り合うわけなんで保険診療はさらに厳しくなるんじゃないかと思われる。

 

 

今後はデジタルの時代。

20~30年ぐらいで大幅に従来の歯科治療そのものが変わるだろう。

PCによるシミュレート、作業がどの分野でも要求される。

光学印象

バーチャル咬合器

CAD/CAM 3Dプリンタ

デジタル矯正

すべて設備投資がかかる。

今までの歯科治療の器具はこれがなければ絶対この治療はできない、というものは少なかったと思うが、これからのデジタル時代、なければできない治療が増えるかもしれない。

 

これからはそういった意味で歯科医院の格差がさらに開いていくだろう。

 

卒業した後って出身大学で差が出るか? 

偏差値の高い歯科大学にいけば、確かに歯科医師になれる確率は高くなる。常々言っているが、今の時代まず歯科医師になれなければ意味がないので重要だ。

ただ、偏差値の高い大学に入る=歯科医師として成功には当然ならない。

勉強会とかに行ってこの人症例綺麗だなーと思う人達に学歴は全く関係ない。

大学出て歯科医師なったら底辺出身だろうが国公立出身だろうが一緒。

 

 

地域差は確かにある

田舎は厳しい

人口は減り、元々の給与水準も低いから保険外の比率もなかなか難しい

 

しかし都会も厳しい

人口は多いし裕福な人が多いが、歯科医院だってめっちゃ多い。

 

しかし、今だってそうだけど田舎だって都会だって明らかに勝ち組な歯科医院はあるわけで、それは自分次第。

そして案外勝てなくてもまともにやってればそれなりの収入は今の時点では期待できる、それが歯科医師だ。

ただし、それは20年後も同じかはわからない。

 

まとめ

1 歯科医院は日本の歴史において常にコンビニエンスストアよりも多い。

2 歯科医師数はいまだ増加傾向にある

3 女性歯科医師の比率はこれからもどんどん増える

4 歯科医師の年収は実は増加傾向にある(統計母数が少ないが)

5 歯科医師はワーキングプアばかりなどというのは嘘

6 歯科医師の進路は最終的にはやっぱり開業になってしまうことが多い

7 多くの歯科医師は未来予測として横ばいか下降するイメージを持っている

8 それでも勝ち組は確実に存在する

9 今後は設備投資できる余力がかなり重要で格差がさらに拡大していくかもしれない

 

 

どこの業界にいったとしても日本経済は人口減少で結局は縮小傾向。

海外に飛び出るなら別かもしれないが、勝ち組確定な職種なんていうものはないし、今あったとしても未来はわからない。

そういった中でも成功している歯科医院は確実に存在しているし、未来においてもそうだろう。そんなことは当たり前の事だ。

 

以上、かなり長文で文章の整合性がとれていないところもあるかもしれない雑多な文章になってしまったが許して欲しい。今思っている事は大体書いたと思う。

これをみて厳しいと思うか違う印象を持つのか、私にはわからない。

ぜひ成功者の歯科医師さん、コメントをお願いします。