(続)とある最底辺歯科医の戯れ言集

日本語が不自由な歯科医師のろくでもないお話 コメントは承認制

歯学系大学院進学について

こんなコメントを頂いた。

 

私は現在某国立大学歯学部で研修中の者ですが、大学院進学か就職かを悩んでおります。以前は実家が開業している関係上、就職して多くの症例を経験したいという考えを持っていしたが、大学院に進みながら大学で臨床を行い思考力を養うのもありなのでは・・・と考えるようになってきました。しかし特に大学院で研究したいというテーマもまだ掴めておらず悩んでおります。Spee先生に何かアドバイスでも厳しいお言葉でもいただければ幸いです。お時間がありましたら何卒よろしくお願い致します。 

 

はい、私も大学院修了して一応博士号持ってるわけだ。

そして今は開業医をしている。

大学院修了後、大学にうっかり結構残っちゃってたんだが、そこら辺のメリットデメリットをお話ししていけばいいのかな?と思う。

 

大学院のメリットデメリット

そんな深く考えてない。かなりざっくりしたイメージ。

 

大学院に行くメリット

・ちゃんとやれば学位がとれる・・・・はず

・論文検索をするということを覚える

・英語論文を読むことが苦ではなくなる?

・論文をちゃんと読む、理解することができる

・学会に行き、同一方向の友達を作ったりすることができる

・その後うっかり教官になっちゃうことも可能

 

大学院に行くデメリット

・専門馬鹿になってしまう可能性

・やりたくなかった研究テーマでもやらざるを得ない

・治療時間が開業医に勤務するよりも遙かに少ない

・大学、講座により大学院生の処遇が違い過ぎる

・さらに4年間学費

・収入が少ない

・奨学金もらうならその返済が20年ぐらい

 

学位について

勘違いして頂きたくないのは大学院にいったから学位が貰えるわけじゃない。

 

自分(または指導教官)が興味がある範囲の論文を読み

今現在何が分かっていて何がわかっていないかを考え

新規性がある所をみつけ

それを解明するための実験方法、統計解析等を考え

実際実験を行い

その結果を解析し

学会で発表

それを論文にして投稿

論文を何回か直して最終的に論文掲載が許可されて

それを元に学位審査を受けて通れば学位が貰える

 

なかなかハードなステップだ。

なのでたまに大学院やめちゃったり延長したりする人もいる。

これだけのステップを開業した後に行うことはほぼ無理だ。

なのでやはり博士号が欲しければストレートに進学することをおすすめしたい。

 

研究テーマについて

特に何がやりたいとかなくても教授や指導教官と面談してここら辺どうかな?と打診されることが多いんじゃ無いかと思うし、この先生達は論文を読んでここら辺新規性あるな、と分かって言ってるのでまあ乗っかる人が多いと思う。むしろ自分で研究テーマがっつり見つけてくる人の方が少ないんじゃ無いだろうか。

 

初めて論文を書くと言うこと

当然書けない。

上の先生にがっつり直される。

私の学位論文なんて自分が最初書いたところ、10%も残ってないだろう。

そんなもんだ。

色々な人の助けがあって学位を取ることが出来る。

論理の整合性、統計手法、そういった所は実際書いてみないと分からない。

 

 

大学院中の治療について

将来開業することが決まっている人にとっては1番心配な所だろう。

大学院中の治療、バイトに関しては大学、各講座によって大きく異なる。

 

大学院で入ってすぐに基礎系に飛ばされ全然治療できない臨床系の大学院もあったりする。

某大学とか総診に残らないと治療ができず、専門医が欲しくて大学院行ったら治療できない、という噂を聞いたことがあるが本当なのか嘘なのか、昔のことで今はもう解消してるのか・・・。

 

かたや、ある程度治療できないと困るだろ?お金稼げないと困るだろ?ということで結構大学で治療もできてバイトにも行ける大学院もある。

大学はやはり専門外来なんで、例えば保存科で義歯バンバンつくるわけにもいかない。

大学の外来で出来る事は限られるので、やはり一般開業医にバイトにいけるかどうかも重要な要素だろう。

その分、研究は夜や土日やることになるので結構忙しい。

 

大学に残るメリットの1つってやはり専門の先生じゃないとできない治療を見学したりアシストしたりできることだろうから、そういう先生に付くことができる大学院生システムならなお良いかもしれない。

上手い先生の治療、スキル、これ開業医になって見ようと思ったら1日10万円ぐらい平気でかかっちゃうからね・・・。

 

 

口腔外科は私の範疇では無いが、タイムリーにそのことに関してブログを書いてる先生がいるので参考にして欲しい。

yasaguredent.hatenablog.com

 

 

いきなり開業医に行ったから治療が上手くなる保証はない

ある程度の治療の基本って大学卒業して3,4年で習得する物だろう。

そこで全く治療していないと確かに見劣りするかもしれない。

 

最初から開業医にいけば確かに朝から晩まで治療しまくりだ。

大学院に行った自分と比べると色々な症例を体験しているしスタートダッシュは確かに違う。

しかし、院長の方針に従わないといけないし、その医院に置いてある材料しか使うことは出来ない。

明らかに間違っていると分かっていることでもその院長がやれ、と言えばやらざるを得ない。

勤める開業医によって当たり外れがあり自分がどう伸びるかも変わってしまう。

(自分の所がはずれ、なんて思っている院長はいないとは思うが・・・)

そういう意味でいきなり開業医に就職する先生にとっても最初の勤め先というのは非常に重要であることは間違いない。

 

優れた治療スキル、治療計画を立てるためのロジックというのは色々な本を読んだり講演会行ったり偉い先生の治療みたり実際治療してみて成功したり失敗したりして身に付く物であり、そう簡単には身に付く物ではない。

治療を一杯やっている=上手い、ではない事に注意すべきであり、大学院に行ったから臨床は下手なわけでもない。

 

 

 

自分的に大学院を出て良かったこと

講演会に行くと商業誌に書いてある臨床系の文章を論文と言ったりする先生がいる。

あれは論文ではない。症例報告である。

論文とは学会誌に投稿してある程度のレベルの査読を受け投稿が許可されたものを指すはずである。

 

また引用の仕方が結構滅茶苦茶な先生がいる。

何本も論文を読んでみてAということを否定する論文はなかったのでAは正しい、みたいな事をいう先生すらいる(実際経験した)。

しかし実際隣にいた私の友達(大学院出てない)は大家の先生なので完全に信じてしまっていた。

 

大学院を出ていない先生方の「論文」に対するイメージはそういうものなのかもしれない。

その文章がエビデンスレベルが高いとされるシステマティックレビューという物であろうが、単なる症例報告だろうが同じ重さで扱う先生は結構多い。

それは大学院などで論文をしっかり読んできた人、書いた人でないとわからないものなのかもしれない。

 

最近本当にこれ大丈夫かよ?という治療法が結構ある。

ある治療法Aに関して論文を1本紹介された。

その1本だけでその治療法Aに食い付くのか?

それとも検索して他に論文がないか、どれだけエビデンスがあるのかを調べるのか

トンデモなのか、そうじゃないのか

食い付くにはまだ早そうなのかな?今食い付くのか?

大学院をでているとそういった事を考慮することはできる。

 

 

臨床においては、私はとある分野でかなり高名な先生の下で色々学ばせて頂いた。

今でもそれは武器の1つ。伝家の宝刀かもしれない。

専門分野を持つ、ということと専門分野しかできない、は別問題。

よく開業医の先生達は大学に残っていると専門分野しかできなくなるよ!というけど、それは違う。

今からの世の中小さい歯科ですら細分化されすぎて、全ての治療を全てハイパーなレベルでできる開業医の先生なんて殆どいない。殆どの高名な先生は自分の武器を持っていると思う。

 

私は大学に長く居すぎた感があるが、ある程度の所でうまく開業医に溶け込んでいければ大学院と開業医の2つを上手くミックスできるのではないかと思う。

残りすぎると専門馬鹿にどんどんなっちゃうので注意が必要かも。

 

 

 

終わりに

お前そんなに臨床うまいんか?と言われると困る。

そんな上手く無いと思うけどそんな下手な方でもないとは思う。

しかし、いまでも上手くなるための努力はしている。

幸運にもまだ老眼は来ていないようだ。

 

どこの大学のどこの院にいくか

で大学院生活もその後の臨床生活も大きく変わってしまう可能性がある。

選択は大事なので、大学院行くとしても行かないとしてもそこらへん後悔しないように!

 

(注)

あくまで私の大学院体験を元に書きましたので、人によっては違和感を訴える方もいるかもしれません。

 

 

本の紹介

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Pubmedが使えない私は最近トムソンロイターのこのシリーズを買ってます・・・。

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 抄読会ネタでお困りの大学院生さん、これこれ・・・

 

だれかー私にPubmedと医中誌を使える権利を!権利をください!