(続)とある最底辺歯科医の戯れ言集

日本語が不自由な歯科医師のろくでもないお話 

日本歯科医師会の暴走は止まらない

 

 

 

口腔ケアでコロナ予防を推進する日本歯科医師会

日本歯科医師会は口腔ケアでCOVID-19感染予防、重症化予防ができると宣伝に力をいれている。歯周病があるとCOVID-19にかかりやすい、重症化しやすい理論も展開している。

 

つい先日、歯周病とCOVID-19の重症化に関する論文が出たが、やけに信頼区間が大きくてこれ1本で立証できたとはとても思えない。

 

Association between periodontitis and severity of COVID‐19 infection: A case–control study

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jcpe.13435

 

この論文に関してはすでに詳細を日本語で解説してくれているブログがありますので、興味がある方はそちらを参照のこと。

COVID-19 と歯周病の関係 - 河野雅臣 歯科医師・博士(感染制御学)

 

ということで、口腔ケアで感染予防、重症化予防に関して私は現時点では肯定できないという立場である。

しかし、日本歯科医師会、政治的な圧力団体である日本歯科医師連盟は色々なお抱え学者を使い、宣伝に余念が無い。

鶴見大学教授の花田氏と神奈川歯科大学の槻木氏が重用されている。

 

私は反論をブログにしている。 

 

日本歯科医師会の発信する情報は科学的な整合性を欠く情報が散見されており、それについても指摘している。

細胞壁と細胞膜の違いもろくにわからないのに情報を発信するのは無謀、と私は思う。

恥ずかしいぞ!!歯科医師会!! - 某歯科医による偏ったブログ

正直、最近の歯科医師会は学術的なチェックが全くかかっていないのではないかと思う。

歯磨きに新しい理由作っちゃいました 

そして、上記の唾液力について書いたどうも神奈川歯科医大学副学長らしい槻木氏による新しい文章が日本歯科医師会のサイトに掲載された。

プレスリリースと本体から構築されている。

プレスリリース

No.126 「ニューノーマル時代の歯磨きの新しい意味とは?」 ~歯磨剤を用いた歯磨きで新型コロナウイルス感染を予防できる可能性が明らかに~|プレスリリース|日本歯科医師会

日本歯科医師会はこのほど、「新型コロナウイルスなど感染症対策における歯科の重要性」に関する情報として、神奈川歯科大学副学長の槻木恵一氏が執筆・監修した「ニューノーマル時代の歯磨きの新しい意味とは?」をホームページに掲載しました。

 歯磨剤に含まれる比較的有名な成分には、ラウリル硫酸ナトリウムなどがあります。槻木副学長らの共同研究で、歯磨剤や洗口剤に広く使われている複数の成分が、新型コロナウイルスの生体への結合や侵入をブロックする可能性が明らかになりました。さらに、IgAの活性には影響を与えないことから、生体の持つ免疫機構を阻害しないことも分かってきています。

 口腔に侵入してきた新型コロナウイルスは、歯磨剤を用いた歯磨きで感染を予防できる可能性があります。また、既に口腔に感染している新型コロナウイルスは、歯磨剤を用いた歯磨きでウイルス量を減少させることも期待されます。

 ニューノーマル時代の歯磨剤を用いた歯磨きは、むし歯や歯周病の予防と同時に、科学の力によりウイルス感染対策という新しい役割が見いだされたといえるのではないでしょうか。歯磨きは、誰でも気軽にできる健康のための第1歩です。ぜひ、歯磨きを積極的にしていきましょう。

 槻木副学長らの共同研究の内容は、3月19日~22日にオンラインで開催される「日本化学会 第101春季年会」において発表予定です。

 

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ニューノーマル?なんじゃそれ

 

本文

次は本文である。

ニューノーマル時代の歯磨きの新しい意味とは?|新型コロナウイルス感染症について|日本歯科医師会

 歯磨きの習慣は、非常に古く、古代エジプトの時代にもあったと言われています。また日本では、江戸時代末期に非常に多数の歯磨剤が売られていたことが記録で残っています。口腔内を清潔にすることの意味は、科学が発達する以前から大切な事として根付いていたのです。

 現代では、主にむし歯や歯周病の予防を第一に考え歯磨きをする人が多いと思います。また、口臭の予防などのエチケットという意味も含まれるようになっています。そして、ウイルスから身を守るために、いま口腔が注目されています。
サイエンス・イムノロジーという高名な科学雑誌に掲載されたIshoらの論文で、口腔は新型コロナウイルスの増殖部位である可能性を紹介しています[1]。私たちの研究でも新型コロナウイルスの生体内侵入に必要な分子が、口腔粘膜、唾液、舌苔にあることを発見し、口腔が新型コロナウイルスの感染の入り口になることを示してきました[2]。

 ウイルス感染から身を守る方法として、インフルエンザウイルス対策でのこれまでの経験から、口腔のケアの大切さが強調されています。特に、口腔を潤す唾液中には、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスをブロックするIgA抗体が認められ、感染を予防しています。しかし、IgAが効果的に働くには、口腔が清潔であることが大切です。

 口腔を清潔にするために、歯磨剤を使用している人が多いと思います。この歯磨剤に含まれる比較的有名な成分には、ラウリル硫酸ナトリウムなどがあります。私たちの最近の研究で、この歯磨剤や洗口剤に広く使われている複数の成分(テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等)が、新型コロナウイルスの生体への結合や侵入をブロックする可能性を明らかにしました[3・4]。さらに、IgAの活性には影響を与えないことから、生体の持つ免疫機構を阻害しないことも分かりました[3]。

 このように口腔に侵入してきた新型コロナウイルスは、歯磨剤を用いた歯磨きで感染を予防できる可能性があります。また、既に口腔に感染している新型コロナウイルスは、歯磨剤を用いた歯磨きでウイルス量を減少させることも期待されます。

 ニューノーマル時代の歯磨剤を用いた歯磨きは、むし歯や歯周病の予防と同時に、科学の力によりウイルス感染対策という新しい役割が見いだされたといえるのではないでしょうか。歯磨きは、誰でも気軽にできる健康のための第1歩です。ぜひ、歯磨きを積極的にしていきましょう。

[1] Isho B. et al. Sci. Immunol. 10.1126/sciimmunol. Abe5511 (2020).
[2]Sakaguch W. et al. Int. J. Mol. Sci. Aug 20;21(17):6000. doi: 10.3390/ijms21176000. (2020).
[3]柚鳥眞里ら.新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染関連因子Sタンパク-ACE2結合に対する歯磨剤及び洗口剤成分の阻害作用.⽇本化学会第101春季年会にて発表.
[4]牧野莉帆ら.新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染関連因子TMPRSS2活性に対する歯磨剤及び洗口剤成分の阻害作用.⽇本化学会第101春季年会にて発表.

 

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読んだ感想

読んでまずとある人を思い出した。

口腔内のコロナのウイルス量を減らす、という事で一大発表をして大バッシングされた某府知事。

イソジンでも某花田氏が推奨していた次亜塩素酸水うがいでも歯磨き粉でも同じだが、in vitroでいくらウイルス相手に効果が認められたとしても、人間となれば話は別。次亜塩素酸水は人体への使用に関してはまず法的な問題もある。

人間は24時間歯を磨き続ける事はできないし、実際人間で毎日何回何分磨けば感染予防できるのか?というエビデンスはない。

あくまでちょっとした可能性の話でしかない。

また、鼻腔からの侵入は歯磨き粉でどうするんだろうね。

正直に言って論理が飛躍しすぎていて開いた口が塞がらない。

 

問題点

引用文献なのだが、肝心な歯磨き粉とコロナの話は論文化されていない。

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引用文献

むしろ、まだ発表されてすらいない。

そう、日本化学会自体が3月19日からだからだ。

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しかも、ポスター発表で筆頭はライオンの社員

COIありまくりじゃない

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査読された論文でもないまだ発表すらしていないポスターの内容でここまで歯磨きの意味語っちゃうとはね。凄いわ神奈川歯科大学。

正直、この文章は某次亜塩素酸水業者が業界紙PRTIMESに出すプレスリリースとほぼ同じレベル、いやそれ以下ではないだろうか。

 

花田氏は地方の歯科医師会系で大活躍

もう一方の鶴見大学の花田氏は、歯周病原因菌がコロナの重症化に関与している、サイトカインストームを起こす!という主張で日本歯科医師会と神奈川県歯科医師会がバックについて色々と情報を発信している。

またテレビにも結構でており、影響力は結構大きい。

花田氏に関しては引用文献の曲解や論理の飛躍等を私は指摘しているのだが、日本歯科医師会と神奈川県歯科医師会が猛プッシュしているせいか、色々な地方の歯科医師の集まりで講演をしているようだ。

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東京都保険医協会

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小金井歯科医師会

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群馬県歯科医師会

群馬県歯科医師会のタイトルが抗菌薬が効かない、ってそりゃ効かないだろ・・・まだアジスロマイシンに未練あるの?

その影響か、検索すると花田氏の論理をそのままブログに書いてる歯科医院が多い。それはそうだろう。日本歯科医師会が言うことにそれほど間違いはないだろう、と信じているわけだから。

個人でファクトチェックしている方が少ないだろう。

日本歯科医師会の暴走の影響力は非常に大きい。

私は別に口腔ケアでコロナが予防できない、と言ってるわけではない。

まあもしできるとしたら凄い事だよな、とは思う。

しかし、今現時点で歯科医師会がゴリ押しするほどのエビデンスはほぼないのである。

少し冷静になって頂きたい、いまの私の切なる願いである。