(続)とある最底辺歯科医の戯れ言集

日本語が不自由な歯科医師のろくでもないお話 

横浜市歯科医師会のyoutubeにHND氏が登場

 

 

 

情報提供頂きました

横浜市歯科医師会の限定公開のyoutubeにHND氏が登場しているということで早速観に行ってみたが、サイトカインストームを煽る内容にプラスアルファができておりなかなかな内容になっていた。

ちなみに限定公開なので、このブログが拡散されると非公開になってしまう可能性が高いので、できるだけ早く見て頂きたい。

勿論だが、動画の内容は証拠保全のため保存させていただいた。

以下のリンク先から御覧になって頂きたい(クローズされました)。

www.youtube.com

https://www.youtube.com/watch?v=wfpMZahOn8Y&feature=youtu.be

追記(2020/08/10 17:53)

動画クローズされた模様

HND氏の話の内容

話の内容に関しては以前よりはブラッシュアップされている。

1)SARS-CoV2による感染は口腔ケアでは予防できない

SARS-CoV2による感染を口腔ケアで抑制できるかどうかはエビデンスがなく、あくまで可能性である、と明確に述べている。

2)COVID-19感染の重症化は口腔ケアで予防できる

SARS-CoV2が感染してCOVID-19が発症した場合の重症化は口腔ケアと抗酸化により対応出来ると述べている。

 

とりあえず1)の感染は口腔ケアでは予防できない、あくまで可能性でしかない、と述べており、HND氏の発言を根拠に感染予防を謳う歯科医院のサイトは全て自分でたいして判断もせず人の情報の受け売りだけの歯科医院という判断でOKだろう。

 

今回出てきた新しい論文

今回COVID-19による死亡の半分が二次性細菌性感染であったという論文を出してきている。

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HND氏は論文を曲解したり、自分の都合のよい論文だけ引用していると私個人としては感じているので、失礼ながらチェックさせて頂いた。

 

論文は以下のリンクからダウンロード可能である。

https://www.thelancet.com/pdfs/journals/lancet/PIIS0140-6736(20)30566-3.pdf

横断研究で191人の患者137人生存、54人死亡というかなりスケールが小さい研究である。被検者の1/4以上が死亡しており、かなりのパンデミック状態になった中国での例であり、今の日本の状況とはかなり異なる気がする。

アブストを読んでも二次性細菌性感染が50%というのは全く出てこない。

面倒なので文章の中にseccondary bacterial infectionがあるだろうと思って検索をかけたが検索数0だった。

 

secondary infectionで検索した所、以下の定義を認めた。

Secondary infection was diagnosed when patients showed clinical symptoms or signs of pneumonia or bacteraemia and a positive culture of a new pathogen was obtained from lower respiratory tract specimens (qualified sputum, endotracheal aspirate, or  bronchoalveolar lavage fluid) or blood samples after admission.

表にはsecondary infectionで確かに死亡者の50%に認められている。

しかし、この定義からしてこの50%が全部細菌性かどうかが自分には判断出来なかった。

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bacterial infenctionで検索したところ、本文中に1つだけ見つかった。

全患者の50%以上の患者が敗血症になったと書いてある。

しかし、no bacterial pathogens were detected in these patients on admission という記載もあり、本当に細菌が原因で敗血症が起こったのかについてはこの論文では言及されていないのではないだろうか。

ARDSとSepsisの確率は死亡者にかなり多く、これから細菌だけがクリティカルということはいえないのではないかと思う。

Although bacterial infections are usually regarded as a leading cause of sepsis, viral infection can also cause sepsis syndrome. Previously, we determined that sepsis occurred in nearly 40% of adults with community-acquired pneumonia due to viral infection. In the current study, we found that more than half of patients developed sepsis. Additionally, we found that more than 70% of patients had white blood cell count below 10·0 × 10⁹ per L or procalcitonin below 0·25 ng/mL, and no bacterial pathogens were
detected in these patients on admission. Sepsis was a common complication, which might be directly caused by SARS-CoV-2 infection, but further research is needed
to investigate the pathogenesis of sepsis in COVID-19 illness.

どちらにしても、この論文はn数が少なく、中国の本当にパンデミック時の状態であり、日本の状況とマッチしているとは思えない。

細菌性肺炎による重症化を煽りすぎではないだろうか。

 

  

さらに続けて、細菌感染が起こるからCOVID-19には抗菌薬投与が当たり前なんだ、という風に見える論文引用をしているが、なんかバックが不安を煽る音楽だけで説明はされていなかったので、どういった意図かは明確には分からない。

ただし、抗菌薬投与の所が太字になってるから、やはり細菌感染による重症化をアピールしたいのだろう。

 

この論文は以下のリンク先になる。

アクセプトされているが、まだin pressの状態である。

https://www.clinicalmicrobiologyandinfection.com/article/S1198-743X(20)30423-7/fulltext

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アブストの結果のところを和訳したスライドになっているようだ。まあこれはこれでいいか、と思って結論を見てびっくり。

Results: Of 1308 studies screened, 28 were eligible and included in the rapid review representing 3448 patients with COVID-19 evaluated for acute bacterial infection. In the meta-analysis, bacterial co-infection (estimated on presentation) was identified in 3.5% of patients (95%CI 0.6 to 6.5%) and secondary bacterial infection in 15.5% of patients  (95%CI 10.9 to 20.1%). The overall proportion of COVID-19 patients with bacterial infection was 7.1% (95%CI 4.6 to 9.6%). Bacterial infection was more common in critically ill patients 8.1% (95%CI 2.3 to 13.8). The majority of patients with COVID-19 received antibiotics (71.3%, 95%CI 57.1 to 85.5%).

結論:細菌による共感染はCOVID-19で入院している患者には高頻度とはいえない。これらの患者の多くは経験的な抗菌治療は必要ない

Conclusions: Bacterial co-infection is relatively infrequent in hospitalized patients with COVID-19. The majority of these patients may not require empiric antibacterial treatment.

HND氏、この論文の結論を完全に捻じ曲げて使用していることは明白だ。180度違うよ。

 

また、こっちの論文は先ほどの論文と違ってCOVID-19重症患者の8.1%が細菌性感染を認めたと書いており、だいぶ現実感がある。

50%と8.1%だとだいぶイメージが違う。

 

他にも一杯

以前おかしいと指摘した論文の図の改変だが、もう引用文献すら載せていない。

以前指摘したサブブログは以下のリンク参照

ちなみにこの論文、まだアクセプトされていないプレプリントの状態のままである。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7263501/

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以前私は正式にプレスされたわけでもないプレプリントの図を引用して、さらに自分用にカスタマイズするなど論外という指摘をしたわけだが、ついに引用文献を外して、どこから持ってきたかもわからない図に仕立ててしまった。

 

そしてついに抗酸化のために野菜、果物、ナッツ類を食べろ、という話にまで至った。

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ビタミンCについても触れているが、私はこういう〇〇を食べろという話と、それをする人を全く信用していない。

 

まとめ

神奈川県歯科医師会は全国の歯科医師会の中でも大変優れた組織であり、ネットなどでの情報の質の高さや速さなどを私は評価していた。

今回、その中の横浜市歯科医師会がこういった論文を平気で曲解し引用する人を起用して、こういう動画を限定公開としてではあるが公開したというのは非常に残念である。

 

それにしても論文の趣旨を180度捻じ曲げていたというのは自分にとっては衝撃的である。

そんなことをする人が研究者としてテレビに出たり、日本歯科医師会や日本歯科医師連盟の口腔ケアが重要で歯科医院受診の根拠として採用されているのだから、世も末である。

 

空耳アワーのパクリの歯ツ耳アワーという動画だが、正直えげつないパンチ力のある空耳エビデンス話になっちゃったけど、大丈夫?

あー、本当に空耳だったらよかったーーーー!!

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今までのHND氏