(続)とある最底辺歯科医の戯れ言集

日本語が不自由な歯科医師のろくでもないお話 

ドックベストセメントのバイブル?を入手したぞ!part1

 

 

 

ドックベストセメントについて

この前のブログにてドックベストセメントに関して今の所どれぐらいエビデンスがあるのか、と言うことを検証した。 

ドックベストセメントがどういうものか、ということについても記載しているので興味がある方はまずこのエントリーから読んで頂きたい。

今現在、ドックベスト推奨派の先生からドックベストがどれだけ凄いセメントかを裏付ける英語論文を提示頂けていない状況である。

 

前回のブログ後に、色々な先生から連絡があり私が入手する事ができなかった2009年のドックベストセメントに関する記載があるDental Diamondを入手する事ができた。

ドックベストセメントの根拠としてWikiにも掲載されているのがこのDenal Diamondである。逆に言うとそれしかない。

それを読めば何かわかるはずなのである。

 

Dental Diamondを読んでみた

実はDental Diamondにドックベスト関連が載ったのは1回ではない。

2009年4月号

2009年12月号

の2回にかけて記載されている。

2009年12月号の方が文章が長く、2009年4月号の内容もほぼ網羅されているが、アメリカでの開発者の話なども多く、余分に長い印象だ。

術式の紹介だけなら2009年4月号の方がまとまっている。

どちらも公式サイトではすでに入手できないようだ。

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デンタルダイヤモンド2009年4月号78ページ

読んでみて色々と疑問点が出てきたのでそれをまとめていきたいと思う。

 

Doc Holidayについて

12月号の最初の方にドックベストセメントができた由来が載っているのだが、まずそこで躓いた。

この赤枠の中を1度読んでから下にいってほしい

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デンタルダイヤモンド2009年12月21ページ

このJohn Henry Holidayに関してである。

実は1文字違いに超有名人がいる。

John Henry "Doc" Holliday

である。

 

OK牧場の撃ち合いで有名なガンマンであるが、彼が歯科医だったことは私も知らなかった。

 

Wikiの写真をみると

Doc Holliday - Wikipedia

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Doc Holliday

この写真、明らかにデンタルダイヤモンドの写真と一致しているが、これは彼が1872年にペンシルベニア大学を卒業した時の写真の様だ。

 

彼の歯科医人生はこんな感じだったらしい

Figures in Dentistry: Doc Holliday

彼はペン大を卒業した後ジョージアのオフィスで歯科医として働きはじめるが、すぐに肺結核と診断されてしまう。

西部の方が健康にいいだろうと言うことでダラスに移住し再度働きはじめるが、マスクせずに治療していた時代のため、咳をして肺結核がうつるんじゃないかと患者が恐れ逃げた事で彼の歯科医人生は終わった。

Born in Georgia to a wealthy family, Doc came into this world on Aug. 14, 1851. After losing both his mother and adopted brother to tuberculosis, Doc went on to attend the Pennsylvania College of Dental Surgery, which his cousin, Robert Holliday, founded. He graduated in 1872 with a thesis titled “Diseases of the Teeth.” The next time you feel like complaining about how difficult state boards were, consider yourself lucky that you didn’t have to write a thesis. Or even read a thesis, for that matter.

Shortly after graduating with a dental degree, Doc began work as a dentist in the office of Dr. Arthur C. Ford in Atlanta, Georgia. It wasn’t long after starting his practice that he came down with tuberculosis, the same disease that claimed his mother and brother. Thinking the drier climate of the Wild, Wild West would be better for his health, he headed to the other side of the country.

Doc moved to Dallas, Texas, and quickly picked up his instruments again as he started work with Dr. John A. Seeger. However, his dental career came to a screeching halt as the coughing spells from his disease began to scare patients away. Even though universal precautions wouldn’t be adopted for another 100 years or so, these patients had the good sense not to let someone with active tuberculosis cough into their open mouth. Doc Holliday was forced to find another way to earn a living.

その後、彼はギャンブルにハマり、人を撃ち殺してしまう。そこから彼はガンマンとなり、多数の人を殺戮し、最後は肺結核で死ぬ、という人生を送った。 

 

 

疑問がある。

1.John Henry Holidayとは何物か?実在するのか?

 写真は明らかにJohn Henry Hollidayの物である。そして彼の歯科医としてのキャリアは非常に短いし、人生も短い。1800年代の人物であり、6歳の女の子が1967年に102歳という文脈と完全に一致しない。

わざわざ、Doc's bestと名前をつけている以上、John Henry Hollidayの事ではないのだろうか?

 

実は日本語版Wikiのスペルが間違っているようで、John Henry Holidayなのだ・・・

ドク・ホリデイ - Wikipedia

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ここからそのまま持ってきたのかな・・・。

いや、Doc本人だったら余計に謎が深まるだけなのだが・・・。

女の子が6歳の時点は1871年であり確かにDocがペン大にいた1872年に被る。例えば、Docがゴールドクラウンを入れることはできるかもしれない。しかし、その後の長期予後について彼が追うことはできないはずである。なぜなら彼は1887年に死んでいる。歯科医師はさらにとっくの昔に辞めている。

この話は本当にあった話なのだろうか?

それともアメリカ人のジョークなのだろうか?

 

2.philadelphia college of dental surgeryは実在するのか?

 ペンシルベニア大学は確かにフィラデルフィアに存在し、ドックも Pennsylvania College of Dental Surgeryを卒業したと記載がある。

ググってもphiladelphia college of dental surgeryというのは引っかかってこない。

これは本当に実在した大学なのだろうか。

現在アメリカに問い合わせ中。

 

2019/05/15追記

アメリカ人に問い合わせた結果、ペン大の間違いじゃね?と一笑されて終わりましたマル

 

3.カッパーセメントが1871年当時に存在したか?

この話が本当なら、女の子がゴールドクラウンをカッパーセメントで装着された時は1871年ということになる。セメントがその時代にあったのか?

一応総説みたいなものを拾ってきた。

合着用セメントの歴史と現状

https://www.jstage.jst.go.jp/article/adhesdent1983/13/2/13_2_111/_pdf/-char/ja

これによると

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合着用セメントの歴史と現状

1878年にリン酸亜鉛セメントが開発された、という所から話がスタートする。つまり1871年当時はまだ合着用のセメントはなかった、ということになる。

まずゴールドクラウンがあったのか?ということにもなるが・・・

 

追記(2019/05/15)

ドックベストセメントの歴史について結構細かく書いているサイトを見つけた。

しかし、これをみてもセメントがその時代にはなかったのではないか、鋳造という技術がなかった当時に冠なんてできたのか?加工するといっても?などという疑問は残ったままであり、夢物語ではないかという疑惑はくすぶっている。

大体96年前にやった治療の冠の中身のセメントなんてわかると思う???

 

今回はここまで

本文のセメントの性能自体にツッコミを入れる以前にここまで疑問点が出てきてしまった・・・・。

すでにこの1ページだけでこれだけツッコミ所があって笑うしかないのだが、誰か・・・このデンタルダイヤモンドの文章と歴史を私が納得出来るように説明できるドックベスト推奨派の先生現れないですかね。

 

デンタルダイヤモンドが変わってこの私の疑問に答えていただいても結構です。

 

 

次回はちゃんと内容を精査したいと思う。