目次
総括
これで112回歯科医師国家試験単体に関するブログも終了となる。
勿論来月からは113回の話に強制的に切り替え
実際まとめてみると、直感的にこうかな?と思った事とか予備校がこう言ってました!なんて教えて貰った情報が案外的外れである事に気づかされる。
歯学部の学生さんはよく読んで頂きたい。
特に私立の新6年生はよく読んで頂きたいと思う。
結果に関しては
全体的な人数の推移
人数の推移を以下に示す。
合格者数
合格者数は107から6年連続で1950~2060というほぼ100名の枠にきっちり収められており、合格者2000人枠が設定されているのは間違いない。
現状の出願者数ベースで考えると56%程度の合格率であり、合格者枠を1850人以下にすると出願者数ベースでの合格率が50%を下回ってしまい専門大学6年いっての資格試験と思えないほどの合格率となってしまう。
そのため私は今後も出願者数、受験者数が減らなければ、2000人枠が継続されるのではないかと思ってはいる。
ただし、合格者2000人枠の前に合格者数2400人枠が存在していたが、それは100回から始まり106回まで7回続いてそこから一気に合格者数は400人減った。
そういう事から、合格者数2000人枠が7年連続で維持されていくかは確定ではないことに注意するべきである。
勿論、動きがあるとすれば、合格者数は減る方向以外ない。
受験者数
出願者数は去年から2人しか増えていないのに、受験者数は70名以上増加した。
国公立現役や浪人の受験者数は大きな変動がなく
私立現役の受験者数が増加したためである。
私立現役の受験者数の推移
これをみると111と112では出願者数はほぼ変わっていないが、受験者数は80人以上増加しており、出願後の留年や卒業保留による絞りが例年より甘かったのか?と考えてしまう。
卒業が最も厳しかった110では出願者数の67%しか実際の国試を受験できなかったのに対し、112では75%が国試を受験することができている。
原因に関してだが
CBTのボーダーを上げたり低学年から進級の判定が厳しくなったりと、6年生の最後までしっかり到達できればある程度の実力がある、という学生が多くなった・・・というのが人づてに聞いた見方。
大学の気分?とか6年生がたまって卒業させざるを得なかったというのが悪魔的な見方。
私の見方は違う。
当ブログでは6年スタート時点の人数を独自集計している。
111において スタート時点での私立6年の総学生数は2000人弱 実際出願できたのは1830名ぐらい
つまり170名脱落している。
112において スタート時点での学生数は2064名、実際出願できたのは1836名。
つまり230名ほど脱落している。
各大学が出願前に学生を多く留年や休学でカットしたことにより最も成績が下位の層が予めカットされており、そのためある程度多めに国家試験を受験することができたと考えられる。
111で最初2000人 国試受験できたのは1302人 65%ぐらい
112で最初2064名 国試受験できたのは1386人 67%ぐらい
つまりほぼ一緒。
単純に学生数が多く、大学側の学生をカットする方法がより出願前に移動しただけだったと考えられ、大学の留年等の基準はあまり変わってないのではと思う。
つまり来月6年生になる私立の学生の1/3は国試を受験することすらおそらくできない。
しかしそれは例年通りだ。
元々の大学受験時の私立の総募集人員は1823名であり、2064名だとかなり留年等でたまっていたと考えられる・・・・。来年もこれぐらいいるのかな?
浪人生の推移
111時点での確定している浪人生の数は1120名だった。
しかし、実際浪人として112を受験したのは1232名であり、大きな誤差がある。
1120名は111で落ちてしまった現役生と浪人生の和である。
なぜ100名以上増えたか・・・・
というと殆どは卒業保留である。
国家試験に受かりそうもないので、国家試験は受験させたくないが、卒業はさせたい場合に使うのが卒業保留
厚労省の国試受験資格にこういうのがある
学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学において、歯学の正規の課程を修めて卒業した者(平成31年3月11日(月曜日)までに卒業する見込みの者を含む。)
そう、つまり3/12まで卒業見込みにしなければいい。
最後の卒業試験を落として絶望の淵に立たされた学生にそっと優しさを与える。
再試験してあげるから卒業はしような!!
再試験は国家試験当日に設定し国試を強引に受験しにいくのを阻止する。
結果を3/12以降に発表して3/31付けで卒業させる。
これは大学の優しさというより
とっとと出て行ってくれ、後は自分でなんとかしろ
という風にも見えるが、
留年して馬鹿高い学費を来年も払いたいくない
ということで両者ともにメリットがある、ということになっている。
この卒業保留のシステムは今年の国家試験のデータにおいて
出願者数と受験者数の差の一部として現れるが、実際何人そうなったのかはわからない。
何故かというと純粋に留年した人もそこに含まれるので。
実際何人ぐらい卒業保留になったかは来年の国試の結果の浪人受験者数を見ないとわからない。
前年に現役と浪人で落ちた分よりも遙かに浪人の受験者数が多くなるのだが・・・
そんな比較殆ど誰もしない。
つまりほぼバレずに隠蔽できる。
去年卒業保留をだして112での浪人受験を増やしたと考えられるのは
明海 45人程度
鶴見 20名程度
朝日 35名程度
大阪歯科 20名程度
福岡歯科 30名程度
この5大学が原因のようである。
今まで卒業保留を行ったことがなかったと考えられる福岡歯科が卒業保留を行ったようだ(おそらく今年は行っていない)。
ちなみに112ではすでにNMが大量に卒業保留をしたことがわかっており、来年も同じ程度の数は浪人が増加すると考えてもよいのではないかと思う。
合格率
全体的な合格率の推移を以下に示す。
合格率は107から63~65%という極めて狭い範囲に固定されている。
おそらく厚労省がここ数年設定したボーダーラインは
合格者数1950~2050人 合格率 64%程度
であると断言できる。
ただし合格者数の所でも示した通り、合格者数2000人枠は6年継続されておりそろそろ何か動きがあってもおかしくはない。
今年は全体の合格率がやや下がったが、現役の合格率は国公立、私立ともに上昇している。
その反面、浪人の合格率は著しく低下している。
特に私立出身の浪人の合格率は36.9%であり、浪人するだけで3人に1人しか歯科医師になれない、というデータになってしまう。
現役の合格率
現役の合格率の比較を以下に示す。
現役における国公立大学と私立の合格率の差は去年と変わらなかった。
現役国公立と全体の合格率の差は23.8とここ10年で最大となった。
111から思考力が問われる問題が増加したことにより、偏差値が元々高い国公立大生がやや有利になっていると考えられる。
ただし、私立現役においてもある程度対策と学生の選抜が行われており、国公立との差は開かなかったと考えられる。
浪人の合格率
出題基準が変わった107でも大幅に合格率が下がり108ではある程度回復した。
これはおそらく予備校が107の問題を解析し対策が功を奏した結果と考えられる。
今回も111で下がった分、少し戻すのかな?と思っていた。
しかし結果は大幅にダウン。
予備校の対策自体はおそらく現役生の合格率をみるとある程度効いていると考えられることから、浪人生の思考力が合格するレベルから遠いという予想が成り立つ。
112の思考力を問う難易度は浪人生、特に多浪生には致命的である可能性がある。
特に1浪以外の学生はかなり厳しいのではないだろうか?
ただ、それを裏付ける資料がない。
旧出題基準のデータならあるが、おそらくこれよりは下がっているだろう。
第108回歯科医師国家試験 卒業年次別結果の考察 - (続)とある最底辺歯科医の戯れ言集
108回では1浪の合格率は63%であったので、一応50%~60%が妥当だろうか?
111で現役で不合格となった数 413人
111で卒業保留でだされた数 約130人
面倒なので550で計算してみる
浪人1232人中
1浪 約550人
2浪以上 約680人
浪人全体の112での合格者数 472名
1浪の合格率 50%の場合
1浪合格者数 275人
2浪以上 合格者数 197人 合格率 29%
1浪の合格率 55%の場合
1浪合格者数 302人
2浪以上 合格者数 170人 合格率 25%
1浪の合格率 60%の場合
1浪合格者数 330人
2浪以上 合格者数 142人 合格率 21%
2浪以上の国家試験合格率は30%以下となる。
108の時は2浪以上の合格率は31%となっており、かなり下がっていると予想できる。
せいぜい2浪で40%を少し超えるぐらいではないだろうか・・・・。
現役で国試を受けられれば私立でも76%
1浪で55%
2浪で40%
3浪以上で20%以下
と想像してみる。
現役で国試に合格する重要性が理解できると思う。
厚労省さーん、おそらくこのデータ112で出したら諦める浪人生増えると思いますよ・・・。
追記(2019/03/24)
厚労省実は卒業年次別をちゃんと発表していた。
とある先生から頂いた。
国家試験発表日に霞ヶ関に掲示されていた模様。
これ、毎年公開しているなら、霞ヶ関に行く人に入手して貰わないと駄目だな・・。
これをみると
1浪の合格率は54.1%と踏ん張っているが、2浪は37.3%と108と比較して10%以上ダウンしている。
3、4浪は25%を切った。
年に1回しかない試験と考えると、現実的な合格ラインは2浪がギリギリ(それでも5人に2人受からない)。
3浪以上はもうガチャレベルといっても過言ではない。
9浪以上が100名受験しているが、合格は3名・・・・3名・・・・
修羅だ!修羅の国だ!!
諦めが肝心であることがよくわかる。
6浪や7浪は案外受かってる様に見えるけど、母数が少ないからそうみえるだけだぞ!
所詮、2,3人しか受からないんだから!
やはり現役で合格しておかないと歯科医師国家試験を永久に受け続けるだけの存在になる可能性がある。
まあ大体上記の私の予想とほぼ同じ結果になっていてあまり外してなかったのでホッとしたけど、こういう資料があるって知らずにブログ書いてたので恥ずかしい限り。
情弱・・・(ToT)
さらに深く見てみると
108では63名だった9浪以上の受験者が112では100名になっている。
その分678浪が大幅に減少している。
108からずっと浪人継続で112に至り9浪以上に含まれる人を想定すると
5浪以上となり、108で浪人継続確定は182名となる
それが100名にまで減少したと言うことは4年間で82名は受かったのだろうか。
ここらへんの合格率は年で数%しかないため、おそらく無理だろう。
年で10名受かったとして40名。
半分ぐらいは歯科医師になる人生を諦めた可能性がある。
9浪以上の残った97名+8浪で落ちて来年から9浪以上になる18名
合わせて115名
もう諦めようよ・・・・
合格基準
112の合格基準
合格基準に関しては上のようになっているが、111と比較してみたい
B領域は配点が2点上がったにもかかわらずボーダーは9点下がった。
C領域のボーダーが5点下がった。
これは矯正や補綴系の難易度が大幅に上がったためと考えられる。
矯正はしっかりみていないが、部分床義歯の問題の難易度は非常に高かった。
実際臨床を結構やっているなら解けるが、殆どやったことがない受験生には訳が分からない問題も多かっただろう。
部分床義歯に関してはおそらく正答率もかなり低かったのではないかと思うので、来年は少し難易度は下がるのではないかと予想している。
矯正に関しての難易度はおそらくそれほど下がらないかもしれない。
それは部分床義歯ほど正答率が低すぎる、という話を聞かないからだ。
つまり、111までの矯正用の勉強では113では厳しい可能性がある。
単純に憶えるだけでは解けない問題が多くなり、考え応用する力が問われるようになった。
単に詰め込むだけでは太刀打ちは出来ない。
そういう意味でも浪人には厳しい試験になった。
しかし、今後もずっとそういう傾向は続くだろう。
それにあわせた勉強法、というのは難しい。
成績上位層はなぜ上位層なのか?
と言われればそれは低学年からの積み重ねがしっかり出来ているから上位層なのだ。
あれは開業すれば必要ない
あれはサボってもいい
とか成績が悪い層は何かにつけてサボるが、そういった積み重ねで成績が開いてくる。
その積み重ねが問われる様になってきており、6年生の10か月程度で簡単にリカバーできるものではない。
低学年からの勝負になりつつあるわけで低学年の方はもう一度自分を見つめ直して頂きたい。
単に試験対策だけで試験を通していてはおそらく駄目な時代になった。
私立現役に関する考察
上位私立と下位私立でどれだけ合格率に差があるのか、と言うことを去年も検討した。
下位私立では40%ほど人数を絞ってから国試を受験したりしているので、元々の国試を受験するベースラインが上位校と下位校では異なっている。
そのため単純な比較が難しい。
また、上2校と下2校の成績がぶっちぎっていたりするからそれに引っ張られてるんじゃないの?的な意見も出てくる。
そのため今回は考えられるパターン全部だしてみることにした。
順位は闇の合格率をベースとすることとした。
なんとなくそうしてみたが、案外面白い結果になった。
闇の合格率上位2校
上位2校とは東京歯科と昭和になる。
この2校の成績は他15校を圧倒する。ぶっちぎりだ。
学生数254人いて221が受験して202人が合格。
表の合格率は91.4% 闇でも79.5%
この2校であれば国公立と匹敵するレベルである。
上位5校
上位5校は岩手、松本、日本歯科新潟がプラスされる。
元々の学生数は548名で表の合格率は87.8% 闇でも68.1%となる。
ここで上位2校に引っ張られてる数字では意味が無い、という指摘が入るので、東歯と昭和を抜いてみた。
その分北海道医療大学と朝日を追加して5校にするとあら不思議
(表が間違っていましたので修正しました)
学生数502名で受験できたのは350名 ほぼ70%
平均よりちょっと高いぐらい。
表の合格率は80.9%で闇が56.4%となる。
うん、まあ良い方だろう。
下位5校
次は下から5校を見てみたい。
福岡、奥羽、神奈川、鶴見、明海の5校になるが、これも不思議なことに学生数は542名となり、ほぼ条件が揃ってしまう(笑)。
学生数542名で実際受験できたのは334名 これは61.6%しかない。
やはり下位層は相当学生を絞っている。
表の合格率は64.7% 闇に至っては39.9%しかない。
学生を絞っても合格率は上がらない大学が多いと思われる。
これに関しても下位2校がかなり酷いのでそこを抜いてみた。
実は今まで日大、日本歯科、大阪歯科は一切出てきていないことに気づいただろうか・・・。
やっと出てきた日本歯科と日大松戸を追加する。
この5校だと学生数は715名。日本歯科と日大松戸が盛大に増やしてくれた。
715名中、国試を受験できたのは386名 53.9%
表の合格率は77.5% 闇の合格率は41.8%
比較
上位下位2校を抜いたデータを並べてみた。
実は表の合格率は3%ぐらいしか変わらない。
両方とも私立平均である76%を上回っている。
何が違うかというと、元々の学生数なんだよね。
下位の方だと715名から受験できたのは386名で54%しか受験できていない。
当たり前だが、そのために補正合格率や闇の合格率では顕著に数字の差が出ている。
この結果からやはり厚労省が発表する表の合格率だけみても全く意味がないことは確かだろう。
最低でも補正合格率による評価は必要。
ただし、補正合格率に関しては今年は出願前留年で偽装した日本歯科新潟が上位側に入っており、それで数字が吊り上げられたと考えられるため、やはり正確に大学の状況を判断するには闇の合格率以外はない。
しかし、かつて名門といわれた
東京歯科
日本歯科
日大
大阪歯科
の中で国家試験合格率においてその面目を保っているのは東京歯科だけ。
後の3校はどこかいってしまった。
何にも考えなくても他校より優秀な学生が入ってくるのにあぐらをかいて対応が遅れ、さらにその対応も的外れ・・・・なんだろうね。
ここまでくるとOBなんかにも敬遠される可能性もあるのではないだろうか?
まとめ
112の総括として
1 合格者数2000枠 合格率63~65%は6年連続維持された
2 私立大学の6年生をぶった切るレベルは変化がない
3 11月の出願前に学生を落としてやろう感が強まっている
4 問題の難易度は多浪生を虐殺するレベルにまで上昇
5 かつての名門校は東歯以外ほぼ死んだ
6 正確な私立大学の状況判断はやはり闇の合格率以外はない
新6年生へ
出願前に学生を間引く学校が多くなっているので、勝負はどんどん早くなっている。
下位私立の最下層は11月にさようなら
悠長にまだ11か月あるやー。じゃないの。
成績下位層の勝負所はもう8か月もない。
11月に1回卒業判定する、ということはそこまでに複数回卒業試験をぶっこんでいくわけで、早い人だと2学期早々ぐらいに実質卒業不可能な状況に追い込まれる(本人は気づいていないが周りはみんなわかってる)。
つまり成績が悪い層や中間層は1学期である程度なんとかしていかないと早々に引導を渡される可能性がある。
あなた方が生き延びて歯科医師になれるかどうか、すでに5年間はレースをしてきたわけだが、ここからは熾烈を極める。
そして甘えは許されない。
今年は卒業だけで来年なんとか国試、とか考えただけであなたが歯科医師になれる確率はおそらく50%ぐらい、いやそれ以下になるかもしれないですが、よろしいでしょうか?
単に歯に詳しい人になりたくなければもうやるしかない。
少しでも人より前を走る。
先行逃げ切り以外に道はないのだから。
浪人生へ
1年落ちるたびに確実に合格から遠のく。
それほど浪人の合格率の下降は著しかった。
勿論、来年どうなるかわからないが、
111と112の浪人の合格率を見れば浪人は絶対に不利であることは間違いない試験だ。
予備校が始まるまではボーッとなんて思っていたら来年も同じ結果になりそう。
浪人なんて、終盤現役に抜かれていく立場なんだから9月の模試で相当いい成績取らないとその後の未来はないと考えて良い。
つまり浪人だって、この数ヶ月の勉強が大事。
浪人、しかも多浪の場合、今から思考能力を上げるったってそんなの無理。
じゃあもう駄目なのか。
簡単な問題を絶対落とさないチューニングをまずするしかない。
正答率70%以上は全部取るぐらいのイメージじゃないとスタートラインにたてないと思う。
それが無理そうなら、もう諦めて別の人生を考えた方がいいのではないだろうか?
これ以上問題が劇的に簡単になることはなさそうだから・・・。
第112回歯科医師国家試験関連
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