(続)とある最底辺歯科医の戯れ言集

日本語が不自由な歯科医師のろくでもないお話 

第113回歯科医師国家試験の総括

 

 

 

総括

長く続いた113回歯科医師国家試験のシリーズもこれにて終了となる(はず)。

来月からは114へ強制的に切り替えとなる。

115からはまた出題基準が変更されるはずなので、それに関しての話もそろそろ出てきておかしくないんじゃないかとは思う。

しかし、111で大きく変わったので115でそこまで変わるかどうか・・・

 

国家試験合格発表当日に書いたブログについては以下を参考のこと

 
 

合格率

合格率の推移を以下に示す。

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107からカウントするとここ7年で最高の合格率である。

ここ6年間は63.3~65%という極めて狭い幅で推移してきたが、今年は65.6%。

精々2%ちょっとの幅でしかないが、それで合格者数が60人ぐらい変わってしまうわけでその恩恵にあずかった学生はラッキーだった。

 

合格率上昇に寄与したのは浪人と私立現役である。

 

実際、国公立現役を基準として合格率の差をとってみると

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 現役国公立と私立の差は110の7.2%に近い8.8%まで圧縮されている。

また現役国公立と全体の差に関しても111や112からすると圧縮されている。

 

おそらくだが、111から始まった新基準に予備校や大学での対策がマッチしてきた事、難易度が低下し思考力が112に比べて求められなかった事が私立現役や浪人の合格率向上に繋がったのではないかと思われる。

それに比べて大学の対策や予備校の介入などが少ない国公立は恩恵にあずかることが出来ず、難易度も下がったため自分達の長所を殺された。

 

実際、予備校の的中が多かったと国試後のアンケートの結果にも書き込まれていた。

そういう意味で114は現行の出題基準最後の年だが、112のような難易度設定をするか、113を継続するかでどこに有利に働くかが決まりそうだ。

ただ112はあまりにも難しい分野があり、識別指数的にも意味をなさない問題が結構あったと思うので113を少しだけ難しくするとかそういう感じが現実的なのではないだろうか。

 

浪人の合格率

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浪人の合格率は大きく回復して111と同等に戻った。112が異常に低かったので元に戻ったと考えた方が良い。これぐらいが普通だろう。

112はかなり難易度が高く思考能力が問われる問題が多かった。そのため思考能力に優れた国公立現役に有利で浪人に不利だった。

113は112より難易度がかなり下がったので浪人も高得点勝負で戦うことができたと考えられる。

 

ただし全ての浪人が戦えたわけではない。

 

113と112の卒業年次別合格率等のデータを示す。

受験可能回数1回が現役で2回以降が浪人となる。

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この2つを比較すると1~3浪に関しては113の方が合格率が高いが、4浪で逆転、後は誤差の範囲と言って良い。

4浪以降の合格率は大体20%以下、最低は0%という階層もある。

つまり、浪人の合格率を上げたのは1~3浪がメインで、4浪以降はあまり恩恵を受けていない。。

つまり4浪以降は難易度に関係なく年に1回のガチャである。

現在の国家試験は臨床の手順や使用する器具なども多く出題されるため、多浪で臨床現場から離れる期間が長くなると不利になるのは確かだろう。

勿論4浪するには何か理由があるわけで、もうそこまで拗らせてしまうと戻ってこれる確率は相当低いということだ。

 

ただし、3浪までの合格率をみてみると、3浪は今回上がったと言っても34.3%であり3人に1人しか合格していない。

これは現実的な合格ラインだろうか?

ということは46.5%合格の2浪までで勝負を決めないと国試10回以上という欄にまで到達してしまう可能性が出てきてしまう。

 

浪人生は年々落ちていく合格率を考えると今年で決めなければ、という気持ちをもち、何かを変えないと。

毎年漫然と同じ事をしていれば実習でなにやったっけ?と臨床実習の記憶も薄れてしまい現役や1浪の時取れていた臨床実地や使用する器具などの問題の点数が伸び悩むだけではないだろうか?

 

3浪でも3人に1人合格できるんだからこういう事書くのはどうなんですか?とか突っかかってくる人がいるのだが、では自分の人生をこの1/3以下の環境におくことができるのかと聞きたい。

多浪して受かった人の話は出てきても落ち続けて道を諦めた人の話は出てこないから、気軽にこういう事をいうんだと思う。また、多浪した人の生涯年収とか一人前になれるのかとかそういう事も無視している。

9浪しようが10浪しようが受け続けていれば可能性がある、とか本人とか親に面と向かって言えるんだろうな、こういう人達は。

 

男女差

男女で国試の合格率には明確に差がある。

統計とったわけではないが、これは明らかに有意差があるレベルだろう。

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国家試験は一夜漬けではなんともならない試験である。

コツコツやってきた努力が問われる。

男性は自分も含めて爆発力はあるが持続力がないタイプが多い。

女性は男性よりも地道にコツコツと積み上げるタイプが多いと思う。

そういった差が国試の合格率に顕著に表れていると考えている。

入学者数をみていると女性比率がかなり高くなっており、10年後には国家試験の合格者数も女性の方が多く合格する時代が来るのではないだろうか。

 

全体的な人数の推移

人数の推移を以下に示す。

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合格者数

合格者数は受験者数が2000人前後に固定された107以降の7年間で最も多い2107名となった。合格率も65%を超えて例年に比べてやや甘い印象がある。

私は2050~2070人ぐらいがMAXではないか、と試験前に以下のブログで予想していたのだが、それよりも合格者は多かった。

私立大学歯学部の国家試験受験者数 - (続)とある最底辺歯科医の戯れ言集

 

しかし、出願者ベースで考えると112では3723名出願、2059名合格で55.3%、113は3798名出願で2107名合格で55.5%でほぼ同じであり、やはりここら辺下がりすぎないように意識はされてると思う。

出願者数ベースの合格率を以下に示す。

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やはり出願者ベースで50%を切る結果は6年制大学を出ての資格試験ではないだろう、という批判がさらに高まる可能性があると思うので数字をうまくコントロールしているのだろう。

107から考えても53.2%~55.6%の間に収まっている。

なので114でも出願者数や受験者数によって多少2000枠からオーバーする事は充分あり得ると考える。

114でも3200人を超える受験者数であれば2050人からそれ以上の合格者であってもおかしくはない。

 

まあこういった数字は後付けで何とでもいえてしまうが・・・。

 

受験者数

受験者数は去年よりも微減して3211名となった。

受験者数に関しては私は国試直前に再予想して結構自信があったのだが、外れてしまった。

 

現役生

もう1度結果を示す。

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国公立現役、私立現役に関しては昨年度とほぼ同じ数値をキープすることになった。

 

私立現役に関しては、6年生が始まった当初には2091名いたはずであり、その中の1374名が国家試験を受験することとなった。

その差は717名。

1374/2091*100=65.7%

であり、111、112も実は殆ど同じ傾向である。

去年も書いたが

来月6年生になる私立歯学部の学生の1/3は国試を受験することは出来ない

これは推定ではなく、ほぼ確定した予言であると言って良いだろう。

おそらく、来年のこの総括にもほぼ同じ事を書く事になると思う。

 

浪人生

 

私の国試前の受験者予想としては

国公立現役 615名

私立現役  1386名

浪人    1278名

合計    3279名

 

実際は

国公立現役 612名

私立現役  1374名

浪人    1216名

合計    3211名

 

国公立現役と私立現役はかなりいい線いってたと思うのだが、浪人の人数が予想より60名ほど少なかった。

去年落ちた人数+卒業保留で放出された人数に関してかなり詳細な情報からこれについては予想したわけで浪人はまさかこんなに大きくずれるとは思っていなかった。

 

もう一度112の年次別結果をエクセルに必要な所だけ抽出して表にしてみた。

112の不合格者数は以下のようになる。 

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113では1つずつ受験可能回数が増えるわけだが、受験可能回数2回目に関しては卒業保留者が合流するため、413人より実際は多くなる。

歯学部学生数公開調査(令和元年度) - (続)とある最底辺歯科医の戯れ言集

に書いているが、卒業者数と国試受験者数の差が卒業保留者と考えられるため、卒業保留者は105名と考えられた。それをプラスして表にしてみると

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と言うこと結果になる。

各階層で諦めてしまったのか、未受験者がちらほらと目立つ。

 

受験回数2回に関しては105名が確実に卒業保留だったという確証がない所もあるので、この17名の誤差はやむを得ない所ではないかと思う。

 

10回以上の学生は112でのトラウマなのか1割以上未受験である。

まあ、98人中8人しか合格してない(それでも例年より高い)ので受けても落ちた可能性の方が遙かに高かったと思うけどね。

 

ということで112でハードをぶち抜かれてしまった多浪生が多かったのが浪人数が予想より少なくなった原因なのだろうか。

 

113は比較的簡単だったし、114が同一出題基準最後の年のはずなので114に関しては未受験者は少なくなるのではないかと思っている。

 

 

合格基準

合格基準や個々の問題についてはプロの方々が私よりも遙かに詳しく解説してくれると思うのでこちらでは詳細に関しては述べない。というか個人レベルでは無理。一般的な事を少しだけ書いておく。

 

113の合格基準

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削除問題は12問だった。

 

112の合格基準は

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削除問題は17問だった。

 

難易度が下がり高得点勝負になったため、ボーダーも軒並み上昇している。

毎回高得点が要求される領域Bは、112と比較するとMAX点数が171点から167点に減ったにも関わらずボーダは122点と6点も上昇しており、領域Bは73%必要でだった。ただし、これは111と同じぐらいである。

112がやはり特殊だったのかな?という風に解釈した方が良さそうだ。

 

111の合格基準を以下に示しておく。

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今回は領域Aのボーダーが上がったよねえ。111と112では殆ど変わらなかったのに。

基礎的な一般問題を舐めると領域Aでやられる可能性もあるということなんじゃないかな。

どちらにしても領域と必修という縛りがあり、どの教科でもコンスタントに点数が求められる。

基礎系は歯医者には必要ない、教官が嫌いだからこれはやりたくない、とかそういうのは最後の関門には通用しない。

6年生になってから、基礎がわからん、あれがわからん、なんで低学年の時もっと真面目にやらなかったのか、という後悔を口にする学生は腐るほどいる。

基礎系なんて6年の数ヶ月でなんとかなるほど甘いものではない。 

こう書いても低学年の成績中位から下位層はほぼスルーする。

積み上げられる人は最初から成績上位者だからね。

 

 

私立現役

私立大学は受験者数をあれやこれやで大幅に圧縮していることはこのブログを読んでいる人にはすでに釈迦に説法なわけだが、今回の結果を闇の合格率でソートして並べてみる。 

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6年生の実数としての学生数(a)をみてみると傾向が見えてくる

奥羽をのぞくと学生数が多い大学の方が下に固まってきている。

そして、下位層の多くの大学では一年時の募集人員よりもかなり多くの6年生を抱えている。

昭和、北海道医療大学、岩手、松本歯科などの元々の募集人員が少ない大学の方が上の方に来ており、しかもこれは今年だけではなくここ数年間の傾向である。

教官の削減や臨床研究業務の負担増により、100名~128名という定員はキャパオーバーで手が回っていない大学が多い、という可能性が示唆されているのではないか?

こういった学生を最後の最後で落とすことでしか合格率を作る事ができない大学達は、まず自分達のキャパシティにあった規模にスリム化しろ、という指摘は免れないのではないだろうか。

また、闇の合格率下位の大学ほど出願前に学生を切って数字を偽装する傾向が強い。

ま、それが闇の合格率だから当たり前と言われるとそうなんだけど、明らかに下に集中してるものね。

出願前に学生を切るようになった大学は数字を操作することに慣れしまい、教育システムの改革など本質的な事が遅れてしまうのかもしれない。

 

113のまとめ

113の総括として

1 難易度の低下は国公立現役にやや不利である。

2 出願者数、受験者数にあわせてある範囲内で合格者数の増減は操作される。

3 7年連続で合格者数2000人枠は維持された。

4 111に変わった出題基準への対応が進んでおり、情報は大事である。

5 まともに戦える浪人は3浪までだった。

6 私立6年の1/3が国試を受験できない傾向は数年同じである。

7 東京歯科以外は一学年128名を教育できるキャバシティは持ち合わせていない? 

 

新6年生へ

出願前に学生を間引く学校が多くなっているので、勝負はどんどん早くなっている。

出願前に学生を切る大学の最下層は11月にさようなら

下手すると一学期終わった段階で休学した方がいいと打診してくる大学もあると聞く。

成績下位層の勝負所は自分が想像しているよりも遙かに早い可能性があり、気付いたら詰んでいる可能性だってある。

 

11月に1回卒業判定する、ということはそこまでに複数回卒業試験をぶっこんでいくわけで、早い人だと2学期早々ぐらいに実質卒業不可能な状況に追い込まれる(本人は気づいていないが周りはみんなわかってる)。

1年かけて仕上げる、では駄目なのだ。

成績が悪い層や中間層は1学期である程度なんとかしていかない。

 

単に歯に詳しい人になりたくなければもうやるしかない。

少しでも人より前を走る。

そう、今日からやるしかないのだ。

 

領域で1,2点足りず落ちた人へ

毎年どこかで書いて警告している。

確かに君は今年惜しかった。

しかし、今年の惜しかった成績は来年の合格を保証しない。

大学の本試で1点足りず落ちたとして、次の再試が全く違う問題にすると言われたら?

焦るでしょ?留年見えるでしょ?死ぬ気で勉強するでしょ?

国家試験には傾向はあるが、毎年全く同じ問題は出ない。

 

現役で1点足りずに落ちた人は、これで予備校にいけば完全に受かる的なプランを描く人がいる。

予備校は勉強の場を与えてくれる所であり、合格を保証してくれる所ではない。

去年1点足りなかっただけだから今年はスローペースでも大丈夫なんてことは絶対にない。

今年も死ぬ気でやらなければ、来年も足をすくわれるだけ、ということを理解していただきたい。 

  

第113回歯科医師国家試験関連


 

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