今までの流れ
このブログもgoogleのAdSense広告を採用しているのだが、最近酷い広告が多くなってきたと感じていた。
自分は歯科業界の人間なので、口に使用する商品は気になる所である。
あまりにもアイキャッチが酷い広告の商品が本当に有効なのかどうかを検証したブログが以下のものとなる。
このブログは少し反響があった。
この宣伝が薬機法に抵触する事を指摘するブログを他の人が書いてくれたりした。
それから少し経ち、あるニュースサイトを見ていたら、なんか煽り文句が既視感のある小柳ルミ子氏が出ている口臭に関する広告を見つけた。
この広告を調べた所、なかなか面白い事実をみつけた。
検証した商品とおそらく中身が全く同じである商品が、別名で売られていたのだ。
なぜわかったかというのは、ブログを見ていただければわかるのだが、導入サイトが殆ど同じ構成であったからである。
さらにもう1商品もおそらく中身が全く同じで名称と販売元が異なる事が判明した。
これらの商品には複数の紹介サイトが用意されており、インフルエンサー?などの実際の使用感想とかそういうのが一杯載っている。
まあステマと考えて良いだろう。
さて、前置きが長くなったが、ここからが今回の本題である。
とあるサイトを読んでいたら
Yahooニュースから適当にリンクを踏んで全然違うサイトを軽く読んで、ろくな記事じゃないなあーと思いながらふと広告をみてフイタのである。
その広告が以下のものである。
どう?凄くない?
広告の煽り文句がいつもの通り自分には全く相容れない感じなんだが、これで売れるの?
フロムココロとソーシャルテックについては前回のブログで内容が同じ商品を別名で販売していると考えられる。
さらに今回サン・クラルテ製薬という所が増えたわけだが、果たしてこれ全部クリックしたらどこにいってしまうのか?という疑問がまず芽生えたので実験してみることにした。
証拠をしっかり残すためには動画にした方がよいと考えたため、結果の動画をyoutubeにアップした。なお、字幕を設定しているので、字幕をonにして閲覧していただけると幸いである。
行き着くところは同じ
動画の結果から、5つのリンクを踏んだ結果3つが同じサイトへ誘導された。残りの2つは別々のサイトに誘導された。
ここからはこの3つのサイトの検証を行う。
この3つのサイトへのリンクだが、全てhttps://beauty-site.xyzからの派生である。
ドメインの検索を行ったが、GMOが代行登録しているのでそれ以上は分からなかった。
まあ、xyzなんてドメイン使っている時点でマトモな業者ではない。
魚拓サイト
元のサイトは業者が気付くと消される可能性があるので、予め魚拓へのリンクを設定している。
さて、今回3種類のサイトがあったが、紹介されている商品は全て共通だった。
以下のゴッソトリノという商品である。
初回価格は990円で今まで指摘してきた商品と全く同じ金額設定である。
8ml×30包なので1か月分の使用が想定されている。
2回目以降は4840円である。
サイトによって少しずつ変わっている所もあるが、ほぼ同一の構成であり、
漫画
他商品の批判
自社商品の効果
医薬部外品であることのアピール
科学的根拠があると主張
製薬会社による販売の安心感をアピール
使用者の口コミ
使用前後の写真
ランキング、満足度
初回限定価格のアピール
という感じになっている。
先制パンチ
いきなり先制パンチで歯磨きでは口臭を25%しか除菌できない
というよくわからない言葉で始まる。口臭を除菌?
歯磨きでは口の中の25%しか汚れを落とせない、と書いてる。どうも根拠は以下のようなのだが、あのな?自浄作用ってもんがあるんだよ。ご飯食べるだけで頬粘膜とか歯肉の汚れって流れていくんだよ。流れづらいのが歯についた歯垢とか歯石なの。どうしても25%というなら根拠となる論文を提示してほしい。
また、市販のマウスウオッシュや歯磨き粉はミントの匂いをつけるだけで除菌効果がない、と書いてある。これは真っ赤な嘘である。
例えば、リステリントータルケアの成分を見れば、薬用成分がしっかりと入っている。
また、マウスウオッシュであるコンクールFの成分をみてもちゃんと薬用成分が含有されている。
.
歯磨き粉なども複数の薬用成分が入っている物があるので、この主張は完全におかしい。
他社製品を明らかに貶める行為は薬機法で禁じられており、そういった観点からも明らかに故意と考えられる。
謎の汚れ
この商品を使ってうがいをすると口の中の汚れがゴッソリ取れると説明がある。
私は長い間歯科医療をやっているが、うがいをしてこんな汚れが取れた事はないし、取れた患者を見たことがない。
経鼻経管栄養で意識レベルが低く口腔内が汚染された患者の口腔内なら痰や粘膜の塊でこういうのが取れるかもしれない・・・ぐらいである(こういった患者はうがいができないが)。
普通に食事をしている一般人の何の汚れがとれているのか???と思ったら解説があった。
何の蛋白質がとれてるのか意味不明
細菌が目で見えるとでも・・・
しかも模式図が細菌じゃなくてウイルスにみえるんだが。
不安を煽って買わせようなんて商品が真っ当だったことがあるだろうか?
ちなみにこの写真とほぼ同様の写真が以前の商品3つにも使われている。
歯が白くなる
田中由美41歳さんという女性が歯が白くなってびっくりという投稿をしている。
この一連の商品は口の中の汚れをとって口臭が減り、さらに歯も白くなる、という事を売りにしている(あくまで個人の感想としているが)。
同一製品と考えられるフロムココロの広告は明らかに歯が白くなると広告している。
しかし、この田中由美さん、謎の人物なのだ。
大久保美里35歳でもある。
また、名無しさん51歳でもある。
一体この女性は誰で何歳なの?
また、この男性も一体誰なのか気になる所である。
科学的根拠
科学的根拠としてゴッソトリノには医学論文でも掲載されるシメン-5-オールという成分が入っていると説明している。
前々回のブログで医学系論文のデータベースである医中誌を検索したのだが、口の中で口臭抑制効果があるという論文が1本のみ見つかったが、歯が白くなると言うことに関しては論文はみつからなかった。
写真に載っている学会雑誌には該当する論文は発見できなかった。
今回、論文が参照されているので見に行く事とした。
https://www.shinryo-to-shinyaku.com/db/pdf/sin_0056_05_0370.pdf
どーん!
フェノールスルホン酸亜鉛とシメン-5-オール配合の薬用制汗クリームによる顔面発汗量変化の比較
えーっと、顔(笑)。
こんなの絶対調べられないから大丈夫、なんて思ってたの?
別の論文から確かにシメン-5-オールは口臭抑制作用があることは確認した。
しかし、シメン-5-オールという成分は別名イソプロピルメチルフェノールであり、これはリステリンにも含まれている成分である。
医薬部外品だから安心
ゴッソトリノは医薬部外品だから安心という記載もある。
それを言ったら、同一有効成分のリステリンも医薬部外品である。
ゴッソトリノの量と値段をリステリンと比較して考えるとかなりコスパが悪い。
リステリンと同一有効成分を何倍も高いお値段で売りつけてる、ということを自分からサイトで暴露してくれてありがとうである。
製薬会社が作っているから安心
サン・クラルテ製薬という製薬会社が作っているから安心!という表現もある。
さっそくサン・クラルテ製薬を調べてみた。
福岡県福岡市にあるようで、代表取締役が新島さんというらしい。
サン・クラルテ製薬概要
医薬品登録販売者に新島さんが2人おり、親族なのかもしれない。
売ってるものとしてはきいたこともないものが100%。
プラセンタ系のものを多く扱っているようで、効果が実証されたもの、というよりは心の潤いのための商品という印象だ。
同一成分を別名で販売していると考えられるフロムココロも福岡市に本拠地があるが、関連性はよく分からなかった。
アンケート調査
こういったランキング、モニター調査だが、普通は胡散臭いモニタリング会社の調査によると書いてあるのが普通だが、それすら記載がない清々しさである。
出所がはっきりしない調査結果を信用できるほど、こちらも心は広くない。
なお、今回は有名人、特定の歯科医師の推薦は認められなかった。
まとめ
前回のブログでもっと商品があるのではないか、と書いたのだがやはり存在していた。
こういった他社をこき下ろす、個人的な感想ですを連発する商品は薬機法にも抵触していると考えられ、まともな商品ではない事を自ら証明している。
手を出す出さないは個人の自由だが、根拠が不十分な記載も多く自分なら手を出さない。
ネット上の広告はこういった商品で溢れており、正直安易に手を出していいものではないだろう。
購入に際し、しっかり調べないのであれば買わない、これが安全だと思う。
そして、歯科専門職としてこういった根拠不明瞭すぎる口腔関連商品の商売が存在している事に怒りを覚えるのである。これに金を使うなら歯科に通院して欲しい。1か月5000円ならしっかり保険内で検査もできるよ。
追記(2021/06/22)
どうも業者は色々と学習してきているようだ。あまりにもキモすぎるアイキャッチをすこし変更してきている。
しかし、伊東家ってもう若い人はしらないと思うし、便所くさい口臭は洗面所のアレで消える、とかいう宣伝文句もキモいわ、実際クリックしてジャンプして読む内容から大きく乖離しているわで、正直これぐらいでもクリックしてくれる人が増えるとは到底思えない。
まあ、頑張れ。