目次
早めの冬休み?
はい、ずっと更新してない。
正直ブログに疲れているので、
やさぐれ先生がブログを更新したら自分も更新する、
ということにすればやさぐれ先生ずっと更新しないから休めるのではないか?
ということでそういう約束をやさぐれ先生としたのだが、
やさぐれ先生、ここんとこ連投でブログ更新してきやがる!!!
うおおおおおお
ということで私も頑張って書いた。
ちなみにやさぐれ先生のブログ今回すごく面白いので是非読んで頂きたい。
ちなみに今回は学生向けではない。
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所とは
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)とは歯科の施設基準の1つである。
歯科外来診療環境体制加算(外来環)という施設基準があり、その1つ上の属性という風に捉えられている。
このブログを読んでいる人の多くには釈迦に説法だろうが、学生さんや衛生士さん、技工士さん等も読んでいるので一応解説する。
歯科外来診療環境体制加算1(外来環)の施設基準
本当はもっと細かいが省略して記載する。
(1)初診料の注1にかかわる施設基準の届出を行っている
(2)偶発症に関する緊急時の対応、医療事故対策等の医療安全対策にかかわる研修を修了した常勤の歯科医師が1名以上配置
(3)歯科衛生士1名以上配置
(4)以下の装置、器具等を有している事。AEDに関しては保有していることがわかる院内掲示が必要
①AED
②パルスオキシメーター
③酸素
④血圧計
⑤救急蘇生セット
⑥歯科用吸引装置
(5)診療に於ける偶発症等緊急時に円滑な対応ができるように、別の保険医療機関との事前の連携体制が確保されている
(6)歯科用吸引装置等により、歯科ユニット毎に飛散する物質を吸収できる環境を確保
(7)見やすい場所に、緊急時における連携保険医療機関との連携方法やその対応等、歯科診療にかかわる医療安全管理体制を実施している旨の院内掲示をしている
歯科外来診療環境体制加算1(外来環)による加算
歯科外来診療環境体制加算1 23点(初診時に算定できる加算)
外来時歯科外来診療環境体制加算1 3点 (再診時に算定できる加算)
加算に関しては初診料と再診料が引き上げられた際に少し点数が下がっている。
以前は25点と5点だった。
外来環を取るためのハードルとして衛生士の確保が最もハードルが高いだろう。
衛生士は超売り手市場である。
そういう状況なのに院長のパワハラ等でやめるという衛生士は結構いるが、再就職先には困らないから、やめる閾値も下がってきているのかもしれない。
私は絶対辞めてもらっては困るが。
また、口腔外バキュームもある程度ハードルが高い。
外来環を取るためだけに買って後は倉庫で寝てるという話を良く聞く。
自分はこれないと義歯とか削りたくないのだが・・・。
まあ某会のお偉いさんも掃除機でいいだろ、こんなのって言っちゃってるけどね・・・。
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の施設基準
これも少し簡略化して記載する。
(1)歯科医師が複数名配置、または歯科医師+衛生士が配置されていること
(2)過去1年間にSPT(1)またはSPT(2)をあわせて30回以上、フッ化物歯面塗布処置または歯科疾患管理料のエナメル質初期う蝕管理加算をあわせて10回以上算定している
(3)クラウン・ブリッジ維持管理料を算定する旨を届け出ている
(4)初診料の注1にかかわる施設基準の届出を行っている
(5)過去1年間に歯科訪問診療1もしくは2の算定回数と、連携する在宅療養支援歯科診療所に依頼した氏か訪問診療の回数があわせて5回以上
(6)過去1年間に診療情報提供料または診療情報共有料の算定が5回以上
(7) 歯科疾患の重要化予防に資する継続管理に関する研修(口腔機能の管理を含む)、高齢者の心身の特性および緊急時対応等の適切な研修を修了した歯科医師が1名以上
(8)診療に於ける偶発症等緊急時に円滑な対応ができるように、別の保険医療機関との事前の連携体制が確保されている
(9)歯科訪問診療を行う患者に対し、迅速に歯科訪問診療が可能な歯科医師をあらかじめ指定するとともに、当該担当医名、診療可能日、緊急時の注意事項等について、事前に患者または家族に対して説明のうえ、文章により提供している
(10)上記(7)に掲げる歯科医師が以下の項目のうち3つに該当
①過去1年間に、居宅療養管理指導を提供した実績がある
②地域ケア会議に年1回以上出席
③介護認定審査会の委員の経験
④在宅医療に関するサービス担当者会議や病院・介護保険施設等で実施される多職種連携にかかわる会議等に年1回以上出席
⑤過去1年間に、栄養サポートチーム等連携加算1または2を算定した実績
⑥在宅医療または介護に関わる研修を受講
⑦過去1年間に、退院時共同指導料1または2、退院前在宅療養指導管理料、在宅患者連携指導料、在宅患者緊急時等カンファレンス料を算定した実績
⑧認知症対応力向上研修等、認知症に関する研修を受講
⑨自治体が実施する事業に協力
⑩学校歯科医
⑪過去1年間に、歯科診療特別対応加算または初診時歯科診療導入加算を算定した実績
(11)歯科用吸引装置等により、歯科ユニット毎に飛散する物質を吸収できる環境を確保
(12)以下の装置、器具等を有している事。AEDに関しては保有していることがわかる院内掲示が望ましい
①AED
②パルスオキシメーター
③酸素
④血圧計
⑤救急蘇生セット
⑥歯科用吸引装置
よく見て頂くと青字の所は外来環とほぼ共通の内容である。
そういうことで外来環を取っていないとか強診を取ることができないことから、か強診は外来環の上位基準と言われている。
外来環は病院に物をしっかり揃えているか、ということに重点がおかれているが、か強診はそれに加えて地域包括ケアシステムに積極的に参入しているか、ということが要求される。そのために訪問診療などの要件が必要となる。
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)における加算
エナメル質初期う蝕管理加算 260点(月1回)
SPT2 1~9歯 380点 10~19歯 550点 20歯以上 830点(月1回)
歯科訪問診療移行加算 150点(訪問診療毎)
在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導料のか強診加算 75点
エナメル質初期う蝕管理加算は白濁が一杯あるような初期う蝕がある患者さんの歯管にプラスして取れる加算だが、フッ化物歯面処理が3か月に1回最高で130点算定なのに対して月1回260点加算できる。
3か月に1回フッ素塗ってどれだけ効果があるかは疑問なわけで毎月ブラッシング指導と塗布をしてお金が貰える有り難い加算である。
SPT2がか強診であるかないかで最も異なる所である。か強診でない場合、歯周安定期治療としてのSPTはSPT1しか算定できない。SPT1は20歯以上でも350点でしかも特記事項がない場合は3か月に1度しか算定できない。それに比べてSPT2は20歯以上で830点を月1回算定可能である。これは相当な差がある。
全ての患者さんの安定期治療が3ヶ月以上のメインテナンス期間でよいわけもないので毎月来て貰って算定できるのはメリットが大きい。
また外来から訪問診療に移行した際、外来最終受診から3年以内に移行の場合は加算がとれるが、か強診は毎回150点、その他は100点となる(訪問診療時間20分未満はこの加算はとれない)。
在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導料においてもか強診であれば75点加算できる。
か強診はまだレアな存在なのか
数年前に歯を削るためのハンドピースの滅菌で大騒ぎする程度の歯科界なので
これぐらいの多項目の基準が要求されるとなると
平成28年度に新規導入された当時は
歯科医院全体の数%程度しかか強診を取得していない、と言われた。
勿論だが、全ての歯科医院がこういった施設基準を取る必要は無い。
まず訪問歯科診療をするかしないか、という所が大きな分かれ目。
外来で自費治療メインでやってる歯科医院がわざわざ訪問診療をしようとは思わないだろうし、ご高齢の先生が1人だけのところも体力的な理由でしないところも多いだろう。
では今現在どれだけの割合がか強診の施設基準をもっているのか、を調べてみた。
合わせて外来環の取得率と各県のレセ1枚当たりの平均点数も調べてみた。
か強診が多い自治体は平均点数が高いのではないかという仮説である。
全国の歯科医院数は厚労省発表の最新版(2019年9月)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m19/is1909.html
施設基準に関しては各都道府県の厚生支局の最新のデータにおいて、「か強診」「外来環」で検索した際にヒットした件数を用いた。
平均点数に関しては平成30年度のデータを使用した。
診療科別保険点数
http://www.uns.co.jp/common/material/information/file1/201809061708490571054.pdf
結果
結果を以下に示す。
結果は確認しているが、検索方法が難しい支局もあり(中国厚生支局)数字に間違いがあればご指摘頂きたい。
以前このブログの表を勝手に転載してSNSに流したうましかさんがいたので、透かしを入れざるを得なくなった。少し見づらくなってしまったことをお許し頂きたい。
全国的にみると68511施設中27502件が外来環を取得しており、その割合は40.2%であった。
最も外来環の割合が少ない自治体は27.3%で東京都であり、次が27.9%の沖縄県である。最も外来環の割合が高いのは60.2%の山梨県だった。
大都市圏の大阪府や愛知県は40%を超えており、物を設置するスペースがないとかは理由にならないだろう。
東京はおそらく衛生士がおらず助手だけのところが多い、とか、保険外診療でやってけるのでわざわざ必要ないとか、そういう理由なんだろうか???
全国では68511施設中10956件で16%の歯科医院がか強診を取得している。
か強診の割合が最も少ないのは5.9%とダントツの沖縄県である。 後は関東圏が10%割れしている所が多い。最もか強診の割合が高いのは佐賀県の32.2%であった。
おそらくこれも衛生士の充足に関係するところが多いだろうとは思うが、大都市圏である関東圏と関西圏でかなりの差を認めるので、一概にそれだけが原因とは言えないのではないだろうか?
首都圏はそんなに保険外診療だけで儲かってるってこと?
全国で16%ということはまだまだハードルが高い基準ということはできるだろう。
6件に1件ということだから。
平均点数とか強診の割合を比較してみると、全く相関してる感じがしない。
試しに相関係数を計算したところ
r=0.0639
で全く相関していない。
か強診割合が13.5%しかない北海道の平均点数が1459点
か強診割合が29.2%の愛媛県の平均点数が1155点
施設基準をとるためにはそれなりの投資が必要であり、投資した分がしっかり返ってこなければ施設基準を取る意味がない。
そこまで都道府県で疾病構造が違うのだろうか?
大都会は別としても田舎同士ならそこまで違うとは思えない。
各都道府県による保険算定のルールの違いがそこまで如実に点数に出るということだろうか?
それともSPT2等でレセ枚数をうまく増やせているので平均点数が下がる、ということだろうか?
レセ1枚あたりの平均点数が低くても枚数が多ければまた話は違う。
難しい所だなあ。
しかし、愛媛で個別指導にあたる歯科医院、北海道だと余裕でスルーなんじゃないか・・・?
ちなに中医協ではあまりにも衛生士が不足しているため、外来環の衛生士の基準をはずしたほうが・・・なんていう話がされているようだ。
か強診をググると
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所 でGoogle検索すると
厚生支局を抑えてトップに座っているサイトがある。
歯科医療情報推進機構というサイトである。
ちなみに外来環で検索しても1位である。
ここに施設基準の歯科医院リストがある。
都道府県別に選べるので北海道をひらいてみると・・・
6件しかヒットしない。
北海道においてか強診は398施設あって、そのうち6件しか網羅していない。
愛媛県は1件だけだった・・・
これ凄く紛らわしいんだが、IDI会員の施設のみ情報が掲載されている。
一番下にさりげなく書かれているのがポイント
IDI会員以外の届出状況はこちら、をクリックするといきなり厚生支局のページに飛ばされてしまう。
一般の人は厚生支局のサイトのどこに施設基準があるかなんてわからない。
こういったサイトも残念だが某公園と同じく検索順位の高さをウリにして歯科医院をつってるんだろう。
うちのサイトはか強診、外来環で検索すると1位なんですよ!
SEO対策になります!集患になります!
折角の施設基準、活かしてみませんか?
とか言われてるんだろうねえ。
費用をみてビビった、え?これ本当にこれ払うの???
IDIに登録してる歯科医院はよほど儲かってるんだろうねえ・・・・
だってこれだけのお金さくっと払えるってことなんだから
その原資はどこから来ているだろうか?と考えざるを得ない。
どちらにしても北海道で6件、愛媛で1件しかない、というその選ばれた感で押してく形なのだろうか?
しかし、施設基準でわざわざググって医院をチョイスする患者さんってどんだけいるんだろうか?
たいしているとも思えないんだけど。
まとめ
①外来環は全国の歯科医院の40.2%が取得している。
②か強診は全国の歯科医院の16%が取得している。
③か強診は首都圏と沖縄県の取得率がずば抜けて低い。
④か強診の取得率とレセ1枚当たりの平均点数は相関しない。