目次
DMが毎日・・・・
実は今年に入ってからDMをフォロー外にも開放したのだが、それに伴い結構な数のDMが来るようになった。
進路相談が多いが、
3月後半になり
「4月から歯学部に入学するのですが、すでに不安しかないです。
どうすればよいでしょうか?」
という質問が何人かから寄せられるようになったので、
書く気はあまりなかったのだが、1年生向けに書くことにした。
書いてたら歯学部低学年でも読んでも良い感じになった。
ただし、1つ言っておきたいのは研修歯科医すらやっていない私が現行の歯科大学のカリキュラムの詳細を隅々まで知っている、なんていうことはありえない。
あくまで大体こんな感じですよ、というものであるのでそう理解して欲しい。
現実直視の内容なので読んで余計不安が増強される可能性があります。
そういう方は敢えて読まないように。
歯科大学のカリキュラム
医療系大学のカリキュラムは、モデル・コア・カリキュラムに よって大まかに規定されている。
歯学部のモデル・コア・カリキュラムは以下のものとなる。
ただし、これは最低限のものであり、そこから各大学4割程度は自主性をだしたカリキュラムを組むことになっている。
それにより各大学でカリキュラムに差が生まれることになる。
まあ、最低限と言っても6年間なので、PDFを見るとウンザリするほど一杯ある。
そしてその殆どは必修科目となる。
選択科目など残念だが教養課程のごく僅かしかない。
大学により教養課程の期間は異なる。
1年生は教養課程だが、2年生からは解剖などの専門課程における基礎系が始まる大学が多いのでは無いだろうか?
詳細は各大学のサイト上にシラバスが載っているはずなので、それを見てみるとよい。
まだ新年度版は掲載されていないかもしれないが、古いやつでも参考にはなるはずだ。
毎日朝から晩まで講義や実習がある
教養課程においても色々実習があると思うので、朝から晩まで大学にいることが多い。
勿論専門課程が入ってくればもっと量は増えてくるし、全て必修科目になる。
出席に関しては大学によってルールが異なるが、かなり厳しい大学が増えているのではないだろうか?
某大学では、欠席したらその講義動画を観る→担当教員の口頭試問を受けて合格してやっと欠席と正式に認められるらしい。
え?出席にしてくれるんじゃないの???と最初聞いた時再度確認しちゃったぐらいだよ・・・。
学生も教員も恐ろしく疲弊しそうなシステムだけど、実際そんなところもあるらしいからね。
小学生より休みは少ない
文系の大学生みたいに数ヶ月夏休みがあったり、とかそういうのは一部の旧帝歯学部などを除けばないようだ。
高学年に上がると飛躍的に休みが少なくなっていく
某私立歯学部など、夏休み4日間とか
臨床実習で春休みなしとか
まだ低学年のうちは休みが多い・・・・はずなので、旅行とかそういうのは低学年のうちにな・・・。
襲い来るテストの山
殆ど必修なんだからテストは山のようにある。
特に最近5期制を採用する大学が少しずつ増えている。
1年を5期に分けてどうやら全てにテストが細かく設定されるようだ。
また東京歯科方式である総合試験方式を採用する大学も増えている。
総合試験方式とは
1年の1番最後にやる最終進級試験である。
1年間全ての単位を取得しても総合試験をクリア出来ないと留年である。
特定の講座による留年は学生やその父兄に文句をつけられる可能性があるわけで大量には落としづらいが、最後の総合試験は全教科なのでそれで点数が足りない、と言われると まあ納得するしかない。
なので落とす側からすると落としやすい。
あなたの大学は6年で終わる大学か?
以下の資料は7年前に入学した先輩達が1回も留年せず、現役で国家試験に合格した割合を示す。
あくまで7年前なので、今年入学する1年生にこの%がそのまま該当するわけではない。
そう、このデータよりも悪くなっている可能性もあるし、良くなっている可能性もある。
あえて悪いを前にしたのは悪くなっている大学が多くなっている可能性があるからだ。
まずこれをみて、自分の大学を確認する。
例えば、
50%だった場合
上位30~40%を維持できればまあ6年で国試受かるかなと言えるだろう。
30%だった場合
上位20%を維持できればなんとか
20%以下だった場合
上位10%以内に・・・・
というような大体の目算が成り立つ。
大学によって違うし、あくまで1学年だけのデータなので、数年間のデータが欲しいなら最後にある参照リンクを見て頂きたい。
どちらにしても、入学すれば6年で歯科医師の道が保証されている大学など存在しない。
今からのあなた方の努力次第である。
あなたの大学の進級状況は?
どの大学においても留年や休学率は高まっている。
先ほどの資料で6年で歯科医師になれる確率が低い大学は当然どこかで大量に落ちているわけだ。
以下の資料が参考になる。
この資料で誤解しやすいのは1回でも留年・休学した学生の割合なので、2年生留年した学生は以後卒業するまでずっと%にプラスされる存在になる。
つまりこの%は純粋にその学年で留年する人の割合ではない。
各大学において何年生で留年しやすいとか
低学年からバンバン留年する
高学年になると留年が著しく増加する
などの特色を掴むことが出来る。
留年・休学者の割合が急激に増加する学年がトラップ学年だ。
トラップとして良く設定されるのは
教養課程→専門課程
CBT(4年または5年)
6年生(私立は修羅の国)
あたりである。
CBT
CBTは4年生、または5年生である試験である。
全ての大学において行われる共用試験であり、PC上で1人ずつ異なる問題が出題されていくというものである。
しかし、大学によりCBTの合格基準が異なるため、厳しい大学はCBTで大量に留年する。昔は65%がボーダーの大学が多かったが、今は70%オーバーに設定している大学が多くなっていると聞く。
知識を問うのがCBTで実技を問うのがOSCEであるが、OSCEは殆ど落ちない。
なぜかというとOSCEを実施するには大量の模擬患者や運営が必要で大学職員を大量に使う。勿論休日にやるとすると有給も与えないといけない。
なのでどの大学も再試験したくない。
だから落ちてもレポートとかで通す。
それが学生に見透かされており、OSCEは舐められていると思う。
CBTはPCが前にあれば再試可能だしペーパーテストなわけで点数も明確。
落としやすい。
CBTとOSCEを通らないと臨床実地にいけない。ここは大きなハードルになる。
臨床実習終了時
最近は臨床実習終了時に総合試験系が設定されそこで落ちる学生も多いと聞く。
臨床実習は患者配当の関係で留年させるのが非常に面倒。
だって、留年するとその学生が担当していた患者をどうするの?またつけるの?はずす?みたいな感じになるし。
だから昔は臨床実習は落ちずに最終学年になっていた。
そして最終学年は修羅の国になり、大量の留年生で溢れる状況が起こった。
それなら6年生に上げないようにしないと、ということで臨床実習後に学力試験を行う大学が増えてきている。
勿論、CBTや6年生に比べたら留年はかなり少ないが、以前みたいにほぼ無条件に6年生進級、ではなくなった所が多い、ということだ。
6年生
6年生に関して留年生の割合をみれば分かると思うけど、大学によっては留年生の比率が60%を越える。
多くの大学で30~40%程になる。
6年生まで来るとどこの大学も国家試験の成績を上げるために成績が悪い層はバンバン切られる。
通常の留年以外にも
国家試験出願前に休学させたり留年させたり
国試を受験させない代わりに裏から卒業させたり
と色々な手をうつ。
6年生~国試の所で多くの私立大学生は涙を呑む。
どちらにしても成績下位層ならどこかで切られるかもしれない。
また6年1年だけ挽回できるほど甘くない。
最初から安心の成績ゾーンに居続けることが最も重要である。
楽しい生活は無いのか
大学生になれば
部活
バイト
飲み会(飲酒は20歳を過ぎてから)
1人暮らし
恋愛等々
など人により色々なイベントが発生するだろう。
6年もあれば色々あるよね!
それはそれで楽しいし、楽しめば良いと思う。
人生勉強ばっかじゃつまんないもんね。
自分も親元から出て、毎日ゲームとギャンブルばかりしていたよ・・・。
しかし、皆さんの目標は歯科医師になることである。
そして、私の時よりも牧歌的な時代ではなく、遙かに厳しい状況なのである。
頭では分かっていても緩い方に流されるのが人間。
あまり緩くなりすぎないようにしなければいけない。
特に国家試験の成績が下位の私立は注意が必要である。
留年しないために
結局は毎日の積み重ねなのである。
1.講義実習を極力サボらない
2.試験直前だけ勉強するのではなく、毎日勉強する
これが最も重要である。
特に最近の国家試験は日々の積み重ねを問うような思考力が要求される問題が増えてきている。
部活から回ってきた試験対策だけを頼りに試験前日だけ詰め込んでいては国家試験は通用しないし、今は国家試験に届くどころかすぐに留年チャンスになる。
日頃から復習したり疑問に思った事を教科書を読んだり、先生に聞いたりして解決していくような積極性が重要である。
底辺私立になればなるほど、教育が手厚くなる傾向にある。
毎日配られる大量のレジュメ
ウェブクラスに上がっている大量の資料
後から閲覧できる講義動画
いつのまにか与えられる事に慣れすぎて、与えられないと文句を言う。
ろくに復習もしないくせにな。
実際の臨床現場で予め与えられる事など殆ど無い。
自分で考えて行動することが求められる職業なんだよ。
底辺私立で轢いて貰ったレールに乗ってるだけの人は落ちていってしまう。
国公立の場合は比較的放置プレーが多い。
私立と同様の手厚い教育は期待できないので、自分で切り開くしかない。
国公立は真面目にレールに乗っていれば落ちることはあまりないので、そこら辺は底辺私立とは大きく異なる。
退学
入学おめでとうのブログに退学まで書くのはすでに悪意しかないようにみえる人もいるだろう。
しかし、事実は事実として伝えなければいけない。
やはり医療系は留年率も高ければ退学も多いからだ。
各大学において基準は異なるが、留年を数多くすればいずれ退学が待っている。
1学年4回できないとか、3回できないとか
そういうルールもあるからね。
留年によって一緒に入学した人は段々減るよ。
下に落ちていった元同級生、最近見ないなあ?
「あ?あいつ、やめたよ」
しかし、それでクラスの人数が減る事はない。
そう、上からドンドン落ちてくるからね・・・・。
ちなみに退学率に関しては公表している大学の方が圧倒的に少ないが、
公表している神奈川歯科大学のデータをみてみよう
毎年1~6年生全体で20~30名は退学したり除籍になっている。
まあ、少しずつ退学していく
留年率が高い大学はやはり退学率も高くなりがちだ。
神奈川の場合、2年で退学が多いけど、まあ自分からもう限界ということなら2年ぐらいまでの低学年で辞めるべきだと思うよ。
おそらく、高学年の退学は成績不良で、低学年は進路変更が多いと思われる。
次の道は早い方が良い。
なにせ成績不良で退学になって別の歯学部の低学年に編入する学生が最近多くなっているからね・・・。死のループだよ・・・。
まとめ
医療系の大学では医学部でも薬学部でも留年率はかなり高い。
歯学部が特別ではないのだ。
しかし、歯学部の場合、最後の国家試験の合格率がかなり絞られているため6年ストレートで歯科医師になれる確率は結構低い大学が多い。
それでもどの大学でも6年ストレート合格率は0ではないわけで、大学の状況をしっかり認識しつつ、しっかり毎日積み上げていけば道は開けるはずである。
高学年になってから成績を巻き返すのは難しいし、高学年になる前に留年してしまうかもしれない。
最初から成績優秀でそれを維持し続ける努力が自分の未来を開く。
入学したからには1人でも多くの学生が歯科医師として生きていけるようになって欲しいと思っています。
参照リンク
用語の解説
第112回歯科医師国家試験の結果
各歯科大学の現状