恒例の私立3回シリーズ
私立大学の現状を国試の成績や入学者数、留年率などの状況から把握する毎年恒例のシリーズ物。
北の方、関東、それ以外の3回で毎回お送りしている。
ここに書いてある語句が分からない場合は
を参照していただきたい。
というか初めて読むならまずこの用語解説を読まないと、設定された項目が何を意味しているかわからない。
また最新の学費に関しては以下のリンクを参照
表の見方
1 表合格率の赤字は全国平均以下、青字は全国平均以上
2 6年生の実数は1学期の人数。?が付いてないのは大学HP公表のデータ。?は独自収集で信頼度は下がる。
3 出願者数ー受験者数は出願後に留年または卒業保留になったであろう人数
4 浪人受験者数が前年の不合格者数合計より遙かに多い場合は前年卒業保留確定
5 補正合格率=合格者数/志願者数 表の合格率=合格者数/受験者数 闇の合格率=合格者数/6年生実数
6 補正合格率順位:私立大学(17校)内での順位
7 6年ストレート合格率は最短の6年で国家試験に合格した割合
なお、偏差値については2020/9/26現在の河合塾の偏差値を採用している
偏差値については今後変動する可能性がある。
北海道医療大学
偏差値:35.0 (前年度35.0)
募集人員80名 定員120名
学費:6年総合 2460万+教材費180万円程度(前年度と変化なし)
特待生数:5名程度(国公立並の学費)+5名程度(1245万+教材費)
H30年度入学試験:受験者342名 合格者数305名 倍率1.12 入学者数57名
R1年度入学試験:受験性416名 合格者数354名 倍率1.18 入学者数83名
R2年度入学試験:受験者431名 合格者数339名 倍率1.27 入学者数78名
1)国家試験合格率の推移
一時期の低迷を脱し、現在の国家試験の成績はかなり優秀である。6年時の留年率をある程度抑えつつ、全国平均を超える高い合格率を3年連続でキープできている。補正合格率、闇の合格率も優秀な数字をここ2年記録しており、今年も充分期待できそう。
入学時の偏差値と国試の合格率にかなり乖離が認められ大学自体の教育システムが優秀である可能性が考えられる。ただし、浪人の合格率はかなり悪いので、浪人するのは危険。
2)6年時の学生の処遇
以前は6年生の3~4割が留年していたが、最近の留年率は低下してきている。昨年度の脱落率は25%以下に抑えられており、6年生のある程度の割合はしっかり国家試験で戦えるだけの実力を備えている。
出願前留年や卒業保留は行っていないと思われる。
3)入学進級の難易度
国家試験の成績自体はかなり良いのだが、偏差値は35とかなり低く定員割れが続いていた。昨年から台湾の留学生を入学させることで定員を充足するようになっている。入試の倍率はかなり低く入学すること自体は比較的容易である。
全体の1/4が留年や休学経験者となり、3,4,6年あたりが留年しやすい学年である。特に4年生のCBTが関門であり、ここで落とされる学生が多いので注意が必要である。
4)総評
ロケーションから人気が無いのだろうか?偏差値や倍率から入学自体は容易と考えられる。その割に国試の合格率は高く、半分以上の成績をしっかりキープ出来れば6年で歯科医師になれる大学と言える。ただし、休みが異常に少なくカリキュラムがかなりキツいみたいなので、そこら辺は覚悟するべきである。
松本や昭和が値上げした今、学費はかなり安い方である。
以上から寒さと北の大地の田舎を愛せるなら推せる大学といえる。
岩手医科大学
偏差値:42.5 (前年度42.5)
募集人員57名 定員80名
学費:6年総合 2800万+教材費?(前年度と変化なし)
特待生数:あるが、それほどの減額にならない
H30年度入学試験:受験者数114名 合格者数98名 倍率1.16 入学者数46名
R1年度入学試験:受験者数124名 合格者数109名 倍率1.14 入学者数50名
R2年度入学試験:受験者数147名 合格者数122名 倍率1.20 入学者数59名
1)国家試験合格率の推移
国家試験の表の合格率は111までは全国平均を下回っていたが、ここ2年は全国平均を上回っている。113では35名受験で34名合格で97.1%という数字を弾き出した。
闇の合格率も60%程度をキープしており、私立上位群に食い込んできている。以前の底辺イメージはかなり払拭されてきている。
2)6年時の学生の処遇
以前は6年生の40%以上が留年していたが、現在はそれよりは低いがそれでも30~35%ぐらいは留年している。それを超えて国試受験できればここ2年の合格率は優秀で有り、最近の卒業試験の合否判定は精度が高いと言える。
出願前留年や卒業保留は行っていないと思われる。
3)入学進級の難易度
定員が少ないのに長年定員割れしていたが、今年やっと定員を充足した。偏差値は42.5と以前よりは回復傾向であるが、競争倍率は1.2倍程度であり、入学自体はそれほど難しくはない。
ただし、全体の留年休学率は私立でも屈指の高さで35.9%である。3人に1人以上が留年休学経験者であり、3、4,6年あたりでかなりの人数が落ちていく。
6年ストレートで歯科医師になれる確率は45~55%の範囲なので、最低でも上4割以内に入ってないと留年や国試浪人で追加の時間と金を払う可能性がある。
4)総評
以前は現役の合格率が全国最低になったりと底辺をさまよっていたが、ここ数年は完全にそのイメージから脱却した。
厳しい進級、卒業基準が設定されているようで、留年するリスクは私立の中ではかなり高いので、ギリギリでの合格での入学はあまりお勧めできない。
学生数が私立歯学部最少規模であり、留学生などは取っていないと聞いている。
ここ2年の国試の成績から、ある程度上位層をキープ出来そうならお勧め出来る大学だ。
奥羽大学
偏差値:なし (前年度なし) 特待生は42.5
募集人員96名 定員120名
学費:6年総合 2150万+教材費200万(前年度と変化なし)
特待生は学費は0円だが入学金や実習費は必要
特待生数:30名
H30年度入学試験:受験者数216名 合格者数148名 倍率1.46 入学者数51名
R1年度入学試験:受験者数182名 合格者数131名 倍率1.39 入学者数44名
R2年度入学試験:受験者数216名 合格者数148名 倍率1.46 入学者数45名
1)国家試験合格率の推移
悲惨としか言いようがない合格率である。補正合格率はほぼ下から1か2番。111では合格者数9名という異常事態となった。
しかし、113では38名受験して21名合格と以前の悲惨な状況からは少し改善しており、今年度から卒業してくる学費0特待生により合格率アップが期待できる事から期待を持たせる結果となっている。
ただし、この大学に過度な期待は禁物である。
また、浪人の合格率はかなり悪く、多浪化してそのまま歯にちょっと詳しいだけのおじさんおばさん化する可能性が高い。
2)6年時の学生の処遇
6年生の学力レベルは高いとはいえない。20~35%程度留年させて学生を絞ってもその半数も国家試験に合格できず浪人になっていく。
出願前の留年や卒業保留などは行われていないと思われる。
3)入学進級の難易度
一般入学の場合、河合塾に偏差値が載っていない。つまり偏差値がつかないほどの定員割れである。その定員割れは編入生で埋められていく。特待生でも42.5であり、正直他大学の一般入試レベルである。
編入生のある程度の割合は他大学歯学部を退学になった学生であり、平均年齢を引き上げ、成績を引き下げていく。
私立にしては留年休学率は低めであり、4,6年生あたりで留年しやすい。
勿論だが、この大学において進級していれば歯科医師への切符が手に入るわけではない。上2割いや、1割ぐらいにいなければ安心はできない。
4)総評
113の成績が112までとかなり異なるため、評価が難しい所である。これで114では特待生が国試を受験してくるので今後の成績がどうなるかは注意していく必要がある。特待生で入学できたとしても毎年厳しい継続基準があり、おそらく脱落して退学していった人は多いと思うので、どこまで国試合格者数に寄与できるかはわからない。
いままでの傾向や入手した大学の現状から教育システムやレベルは評価できない。特待生で資格失ったら退学すると決めて入学するぐらいしか私には推せる要素はない。
日本歯科大学新潟生命歯学部
偏差値:42.5 (前年度42.5)
学費:6年総合 3140万円+教材費?(変化なし)
募集人員80名 定員120名
特待生数:入学試験上位25名が半額
H30年度入学試験:受験者数318名 合格者数223名 倍率1.43 入学者数58名
R1年度入学試験:受験者数341名 合格者数224名 倍率1.43 入学者数65名
R2年度入学試験:受験者数372名 合格者数222名 倍率1.68 入学者数75名
1)国家試験合格率の推移
国家試験の表の合格率は悪くはないが、それは国家試験出願前に大量に学生を留年させて間引きしているためである。111、112ではその作戦があたり、特に112では66人中62人合格で93.9%という数字を弾き出した。しかし113ではあまり成績は良くなかった。
出願前に留年させているため、厚労省が公表する数字を完全に偽装している。逆に言うと数字を完全に隠蔽する悪意がある。
表の数字だけみて入学する事はお勧めできない。
2)6年時の学生の処遇
1)にも書いたが、11月に30~40人程度を留年させてから国家試験出願する。1月の卒業試験ではあまり落ちない。
闇の合格率は40%~50%、6年ストレート合格率は30~40%ぐらいであり、表の数字には表れないこの大学の現状である。
卒業保留は行っていないと思われる。
3)入学進級の難易度
ここ最近は定員割れしていたが、今年はある程度定員を充足できている。偏差値は42.5で倍率は1.5倍程度であるが、この大学は東京校との併願などの状況があり、正直この数字が正確に現状を表しているのかはわからないところがある。おそらく入学自体はそれほど難しくない。
留年休学者率は私立でもトップクラスの36%であり、3人に1人は確実に留年生か休学経験者である。2、3,6年あたりで留年しやすい。
学費が高いのに留年率が高いので、追加の学費が必要になる可能性は考慮しておく必要がある。
4)総評
国家試験の合格率を悪意を持って操作している。
また再試がない試験がかなりあると聞いており、本試一発で留年できるため留年率がかなり高い。
上3割ぐらいにいないとストレートに歯科医師になれるか不安である。その割に学費が高くコストパフォーマンスが悪いと思う。
特待生で入学できるなら推せるが、それ以外に強く推せる要素はあまりない。
まとめ
・北海道医療大学と岩手医科大学は国試の成績が最近優れている
・岩手医科大学と日本歯科大学新潟校は留年率が私立歯学部トップクラス
・日本歯科大学新潟校は悪意のある国試合格率偽装をしている
・北海道医療大学はコストパフォーマンスも良好
逆に日本歯科大学新潟校はコストパフォーマンスはあまり良くない
・奥羽大学・・・・偏差値のつかない6年制大学だよ・・・
関東編はこちら
参考資料
引用したデータのある程度の部分は文科省が毎年発表している資料から取ってきている。その内容に関しては如何に添付するが、内容の解説に関しては以下のブログを参照のこと