(続)とある最底辺歯科医の戯れ言集

日本語が不自由な歯科医師のろくでもないお話 

歯学部状況解析2022入学版(私立)(中部・西日本編)

 

西日本は私立が少ない

関東に大学が集中しており実は中部・西日本に私立大学は少ない。

その分国公立大学が西日本には多くなる。

関東の私立歯科大学は過密で、その分西日本は手薄だから受験者の確保はましかと思ったら、受験者数の減少が関東ほどではないが認められる。

15年程前のワーキングプア騒動で受験者数が大幅に減った時に確実に近づいている。いやその時にそれほど影響を受けなかった大学なども減少している。

残念だが、私立歯学部の人気は風前の灯火なのかもしれない。

ポジティブに考えれば入りやすくなったんだよね...。

 

 

今までの流れ

北日本編

関東編

 

使われている用語の説明

初めてならこの用語解説を読まないと内容がさっぱりわからないので、まずこちらに目を通して頂きたい。

 

表の見方 

1 表合格率の赤字は全国平均以下、青字は全国平均以上

2 6年生の実数は1学期の人数。?が付いてないのは大学HP公表のデータ。?は独自収集で信頼度は下がる。

3 出願者数ー受験者数は出願後に留年または卒業保留になったであろう人数

4 浪人受験者数が前年の不合格者数合計より遙かに多い場合は前年卒業保留確定

5 補正合格率=合格者数/志願者数 表の合格率=合格者数/受験者数 闇の合格率=合格者数/6年生実数

6 補正合格率順位:私立大学(17校)内での順位

7 6年ストレート合格率は最短の6年で国家試験に合格した割合

なお、偏差値については2021/09/20現在の河合塾の偏差値を採用している 

偏差値については今後変動する可能性がある。 

 

なお、今年は文科省から毎年発表されるデータが9/20現在公開されていない。そのため、入学試験の成績などは独自調査した数字を採用し、それでもわからない所は空欄とした。受験データに関しては大学によって公表されていないデータもあり、今後文科省の発表するデータと数字が食い違う点がある可能性についてはご了承いただきたい。

なお、文科省がこの私立シリーズが終わるまでにデータを公開しても、印象の中立性を担保するために、数字を途中から反映することはない。

有料noteに関しては全てのデータが出そろってから書きたいと思っているが、文科省の公開があまりに遅ければ空欄で出さざるを得ない状況である。文科省さん仕事してほしい。

 

数字や内容に間違いがあれば、コメント等で指摘してただけると有り難い。

 

松本歯科大学

偏差値:37.5 (前年度40.0)

学費:6年総合 2736万円+教材費298万円

募集人員96名 定員120名 

特待生数:5名、入学時のみ減免10名

R1年度入学試験:受験者数160名 合格者数148名 倍率1.08 入学者数85名 

R2年度入学試験:受験者数259名 合格者数205名 倍率1.26 入学者数97名 

R3年度入学試験:受験者数148名 合格者数130名 倍率1.14 入学者数76

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松本歯科大学

1)国家試験合格率の推移

 ここ10年で一番ドラマティックな大学だろう。全国最下位常連からの脱出、一躍中堅校への成り上がりはすさまじかった。ここ最近も表の合格率は全国平均を上回っている。しかし、これは大量留年によって構築された数字である。

 ただし、6年ストレート合格率をみると、本当に調子が良かったのは109、110の2年であり、以後は中盤の底が精一杯という感じ。114では多少改善するかもしれないが、継続性については疑問である。

 浪人の合格率はかなり悪いので絶対に浪人しない覚悟が必要である。

2)6年時での学生の処遇 

 ここ2年をみると6年生を40~50%ほど留年させてでも表の合格率を取りに行く方針のようだ。この大学の学生は留年しなれている多留生が多いため、もう感覚が麻痺しているのかもしれない。

 卒業保留や出願前留年などは行われていない。 

3)入学進級の難易度

 今年の受験生は去年よりかなり減っているが、一昨年と同レベルなので、去年が特別だったと考えるべきだったのかもしれない。偏差値37.5で倍率はほぼ1倍、留学生が一定割合いるにも関わらず定員割れしており、入学自体は容易である。

 入学してからの留年休学者の割合は徐々に上昇し30%を越えており、全国でも有数なレベルである。低学年から留年する。

4)総評

 卒業さえまともにできれば国試に合格できる確率は高い。しかし、そこには多くの人はストレートには到達できない。国試の表の合格率が高いのに6年ストレート合格率が低いと言うことはそういう事だ。

 学費も以前のように安いというわけでもないし、ロケーションも良いわけでもない。ただし、最底辺層を歯科医師にするノウハウは他大学よりも優れているかもしれない。低学年からバシバシ留年するので、諦めも早くつきそう。

 そういう意味で他の歯科大学では卒業できそうになさそうな人があえてここを選んでみる、というのはありかもしれない。ただし、勝率の低いギャンブルであることは間違いない。

 

朝日大学

偏差値:40.0 (前年度42.5)

学費:6年総合 1918万+諸経費+教材費? 

募集人員128名 定員160名

特待生数:なし

R1年度入学試験:受験者数510名 合格者数249名 倍率2.05  入学者数129名

R2年度入学試験:受験者数631名 合格者数206名 倍率3.06  入学者数128名

R3年度入学試験:受験者数554名 合格者数253名 倍率2.19  入学者数128名

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朝日大学

1)国家試験合格率の推移

 完全ハイリスクハイリターンのギャンブル要素が目立つ大学であったが、ここ数年6年ストレート合格率が40%を越えてきて、ギャンブル要素が若干薄まっている。113、114の結果をみると以前よりも6年生を落とさずに合格率を確保する事が出来ている。

 卒業保留をずっと行っており、意図的に6年生の人数を調整して合格率を上げるよう操作しているので注意が必要である。

 浪人の合格率はあまりよくないので、現役合格にこだわるべきである。

2)6年時での学生の処遇 

 6年生の脱落率は年によってかなり違うが、35~45%程度が国試を受験できない。その中のかなりの割合が卒業保留で裏から卒業となる。そうやって6年生が溜まりすぎないように意図的に操作して合格率を維持している。

 卒業できればここ2年は高い確率で歯科医師になれており、これが以前と違うところである。

3)入学進級の難易度

 学費の安さが人気で受験者数、倍率は一定水準をキープ出来ている。しかし、偏差値は40のため入学自体はそれほど難しいわけではない。

 入学してからの留年休学者の割合は20%後半であり私立平均より高い。偶数学年がトラップ学年であり、6年生が最もハードなトラップ学年である。卒業保留を採用しているので留年休学者のデータを他大学と単純に比較する事は出来ない事に注意。

4)総評

 学費が私立大学で最も安い事から学生の確保にはそれほど困っていない。以前は6年ストレート合格率が20%台であり、表向きの学費がいくら安くても意味ないギャンブル大学であった。しかし、ここ数年の6年ストレート合格率は40%を越えており、以前と比べるとギャンブル要素が低下している。ミドルリスクぐらいだろう。

 なお、野球部の事件などありこの大学自体の評判はあまり良いとはいえない。

 学費を絶対安く済ませたいという制約がある人にはお勧めできる大学であるがリスクは承知しておくべきである。 

 

愛知学院大学

偏差値:42.5 (前年度42.5)

学費:6年総合 3141万円+230万+教材費なし

募集人員125名 定員160名

特待生数:入試上位で110万減 2年時以降上位10%が30万円減 

R1年度入学試験:受験者数664名 合格者数364名 倍率1.82 入学者数133名 

R2年度入学試験:受験者数455名 合格者数353名 倍率1.29 入学者数121名

R3年度入学試験:受験者数334名 合格者数262名 倍率1.27 入学者数106名

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愛知学院大学

1)国家試験合格率の推移

 国家試験の表の合格率はここ2年ほど最下層レベルにまで落ち込んでいる。しかし、これは6年生をあまり絞らずそのまま卒業させているためである。その証拠に6年ストレート合格率自体はあまり下がっていない。

 ただし、6年ストレート合格率自体は急激に下がって、なんとか40%前半を維持している状況なので優秀とは言い難い。せいぜい中盤の底ぐらいでこれ以上下がれば底辺が待っている。

 浪人の合格率はそれほど悪くはない。ほぼ全員卒業となれば、現役の合格率は悪く浪人の合格率はそれなりという傾向が続くだろう。 

2)6年時での学生の処遇 

 数年前は下20%ぐらい落としていたのだが、ここ2年は急に方向転換で、113ではほぼ全員卒業となっている。今後もこの方針を維持するかは経過を見ていくしかない。

 卒業保留、出願前留年の痕跡はあるが、継続して行われてはいないようだ。

3)入学進級の難易度

 受験者数は2年でほぼ半減しており、倍率は1.3倍程度しかない。学費を実質値上げした事が大きいが、国家試験の表の合格率が奮わないのも当然要因の1つだろう。今年に至っては定員割れした模様。偏差値も42.5であり入学自体は容易である。

 入学後の留年休学者率は30%前後であり、私立ではかなり高い方である。ただし、6年の留年をやめた影響か2020年は少し下がっている。低学年でも下位層はざっくりいかれるので注意が必要である。

4)総評

 10年程前は6年ストレート合格率も大変優秀な割に入学も容易で学費をクリア出来るならお勧めできる大学であった。しかし、そこから徐々に国試の成績は悪くなっており、現在の6年ストレート合格率は40%をやや上回る程度である。学費も高く留年率も高い方なのでコスパは悪いと言わざるを得ない。

 6年生を全部出すのはよいが、もうちょっと合格率をあげて昭和大学的なポジションを手に入れられるかが今後この大学の入学者数などに影響しそうだ。大都市圏に1校しかない状態で定員充足できないという理由をちゃんと考えて欲しい。 

 学費も高いので自宅から通学できる範囲の開業医のご子息などにはお勧めできるだろう。

 

大阪歯科大学

偏差値:50.0 (前年度52.5)

学費:6年総合 3150万+79万+教材費?

募集人員128名 定員160名 

特待生数:入学時の成績で1名が2415万円免除 25名が515万円免除

R1年度入学試験:受験者数757名 合格者数188名 倍率4.03 入学者数128名

R2年度入学試験:受験者数761名 合格者数249名 倍率3.06 入学者数128名

R3年度入学試験:受験者数666名 合格者数?名 倍率? 入学者数128名

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大阪歯科大学

1)国家試験合格率の推移

 国家試験の表の合格率は8年連続で全国平均を上回っており大変優秀であるが、それは卒業保留と出願前留年による数字の偽装による。6年生で国試を受験できるのが半分ぐらいだった年もあり、国試合格率のためなら学生には容赦が無い。

 そうやって偽装しながらも6年ストレート合格率自体は50%をキープしており、比較的優秀な部類ではあるが、40%程度に急落する年もあり信頼度は高くない。

 浪人の合格率は悪くないので、卒業保留されて浪人になっても諦めるな。

2)6年時での学生の処遇 

 6年生は40%ぐらいが脱落し国家試験を受験できない。年によっては50%を越えることもあるのでなかなか過酷である。

 卒業保留と出願前留年両方を採用していると考えられる。

3)入学進級の難易度

 受験者数が減少しており、偏差値、倍率が下がってきている。それでも他の大学と比べれば入学は難しい。

 入学後の留年休学者の割合は15%程度で、私立の中では低い部類に入る。あまり落ちずに6年生までは来られるが、そこでごっそりいかれるので注意が必要である。

4)総評

 大阪に1校しかない私立というのが最大の強みである。正直この国試の成績でこの大学が東京都内にあったら日大や日本歯科と同じ運命だったと思う。明らかに国試の数字を偽装して受験生を集めようとしているわけだが、それでも減ったのは歯学部人気の問題か。

 6年ストレート合格率は50%ぐらいをキープしており、これ自体は私立の中でも優秀な方である。6年生が問題で、そこで引っかからなければまあ普通の大学だ。学費は高いのでリピートや浪人は避けたい。

 大阪歯科出身者の子供で跡を継がないといけない場合と都会で学生を送りたい比較的裕福な家庭の学生にはお勧めできる。 

 

福岡歯科大学

偏差値:なし (前年度37.5)

学費:6年総合 2725万+教材費150万 

(募集人員93名 定員96名)

特待生数:8→16名

R1年度入学試験:受験者数220名 合格者数181名 倍率1.22 入学者数85

R2年度入学試験:受験者数199名 合格者数170名 倍率1.16 入学者数88

R3年度入学試験:受験者数141名 合格者数125名 倍率1.13 入学者数71

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1)国家試験合格率の推移

 奥羽、鶴見と逆トップ3を形成する1校。表の国家試験の合格率は全国最低レベルであり、ここ6年60%すら上回った事がない。6年ストレート合格率は一時期25%程度まで低迷したが、ここ最近は40%程度までには回復してきている。

 浪人の合格率はかなり悪いので、現役合格を目指すべし。

2)6年時での学生の処遇 

 50%落としてみたり、殆ど落とさなかったりと一貫性がない。ここ3年ほどはそこまで激しく落としてはいないが、卒業できたとしても国試に受かる保証は全くない。

 出願前留年は行われていないが、卒業保留は過去に1回だけ行われた形跡がある。

3)入学進級の難易度

 ついに河合塾の偏差値がなくなってしまった。受験者も減少しており、定員を充足することが難しくなってきている。そういうことで入学は容易である。

 入学後の留年休学者の割合はジワジワ上昇して私立の平均以上になってきている。ここ最近は低学年での脱落が多くなっている。

4)総評

 定員充足のために1年生に重点をおいた特待制度を拡充したが、これがどれだけ効果を発揮するかは懐疑的である。表の国試合格率をみた後に積極的に入学させようと思う親がどれだけいるだろうか?1年や2年の失敗ではない。ここまで受験生が減っては継続して定員を充足するのは容易ではないだろう。学費もそこまで安いわけでもない。

 それでも以前よりはやや6年ストレート合格率は戻してきており、上位3割程度の成績をキープ出来るなら別に問題はない。成績が中~下位層の場合、卒業と国試合格は非なるものであるという認識は持つべきである。

 九州から絶対に出る事はできない縛りが課されている方にはお勧めできるかもしれない。

 

まとめ

1.西日本の私立にも受験者数の減少が認められる。

2.松本、愛知学院、福岡歯科の今年度入試は定員割れ

3.朝日と大阪歯科大学は表の合格率を偽装しており額面通り受け取らない事

4.福岡の状況はかなり悪い

 

追記(有料note)

文科省からデータが公表されたため、最新のデータを導入してブログを大幅に内容拡充して有料noteとして書き直した。

私立歯学部の受験を考えている受験生、父兄用である。

特に親が歯科医師の場合、必ず親と一緒に読んでもらいたい。

note.com

4つのブログで構成されており単品では980円(1校200~250円)。4つのブログをセットでお買い上げ頂くと17大学で2800円(1校160円)。

参考資料

文科省から最新のデータが公開されていないため、去年までの公開データ、独自調査データなどを組み合わせている。

第114回歯科医師国家試験結果速報(ユイ) - (続)とある最底辺歯科医の戯れ言集

歯学部状況解析2021入学版(私立)(中部・西日本編) - (続)とある最底辺歯科医の戯れ言集

などを参照のこと。

 

 

2022入学シリーズ